中国不動産バブル崩壊の規模は？

中国不動産バブル崩壊の規模は？

中国経済の巨人、不動産セクターが揺らいでいる。2021年頃から顕在化してきた不動産バブルの崩壊は、今や無視できない規模に拡大し、世界経済への影響も懸念されている。恒大集団の破綻はその象徴的な出来事であり、氷山の一角に過ぎない。では、その崩壊の規模は一体どれほどのものなのか、多角的に考察してみよう。

まず、負債の規模に着目する必要がある。恒大集団の負債総額は、2023年6月時点で48兆円、債務超過は13兆円に達している。これは日本の国家予算に匹敵する途方もない金額だ。そして、恒大集団以外にも、融創中国や佳兆業集団など、多くの不動産開発企業が巨額の負債を抱えており、デフォルト（債務不履行）の危機に瀕している。これらの企業の負債総額は、中国GDPの20%以上とも言われており、その影響は計り知れない。

次に、未販売物件の規模も深刻な問題だ。「鬼城」と呼ばれるゴーストタウンが各地に出現していることが、その現状を物語っている。恒大集団だけでも売れ残り不動産は22兆円に上る。他の不動産開発企業も同様の状況であり、膨大な数の未販売物件が市場に溢れている。これらの物件が投げ売りされれば、不動産価格のさらなる下落を招き、負のスパイラルに陥る可能性がある。

さらに、不動産セクターの崩壊は、中国経済全体に波及する恐れがある。不動産は中国経済の重要な成長エンジンであり、GDPの約30%を占めている。不動産バブルの崩壊は、建設業や関連産業の停滞、雇用悪化、消費低迷など、広範囲にわたる経済の悪影響を及ぼす可能性が高い。また、地方政府の財政も、土地売却収入に依存しているため、大きな打撃を受けることが予想される。

そして、中国の金融システムへのリスクも無視できない。不動産開発企業への融資は、銀行の不良債権増加につながる可能性がある。また、シャドーバンキングと呼ばれる非公式な金融機関も、不動産セクターに多額の資金を供給しており、そのリスクも懸念されている。金融システムの不安定化は、中国経済ひいては世界経済に大きな混乱をもたらす可能性がある。

最後に、社会不安の高まりも懸念される。不動産価格の下落は、住宅購入者の資産価値を毀損し、不満を募らせる。また、建設業の停滞は、農村部からの出稼ぎ労働者の雇用を奪い、社会不安につながる可能性がある。中国政府は、これらのリスクを認識し、対策を講じているが、その効果は未知数だ。

以上のように、中国不動産バブル崩壊の規模は、極めて深刻であり、多方面に影響を及ぼす可能性がある。その影響は中国国内にとどまらず、世界経済にも波及する可能性があるため、今後の動向を注視する必要がある。中国政府がどのような対策を講じ、この危機を乗り越えることができるのか、世界中が注目している。