なぜJRの回数券がなくなったのか？

JR回数券廃止の背景

かつてJR各社が発行していた回数券は、目的地までの往復乗車券を一定回数分まとめて購入できるお得な乗車券として重宝されてきました。しかし近年、回数券の利用は減少傾向にあり、ついに2023年3月をもってJR東日本エリアでの発売が終了しました。

この背景には以下のような要因が挙げられます。

1. ICカードの普及

SuicaやPASMOなどのICカードが普及し、駅の自動改札機を通過する利便性が高まったことで、回数券の利便性が薄れました。また、ICカードにはポイント還元などの特典もあり、乗車券としての機能だけでなく決済手段としても広く利用されています。

2. 割引サービスの多様化

JR各社では回数券以外にも、特定期間内や一定区間内の利用に限定した企画乗車券や、乗車回数に応じて割引が適用される定期券などの割引サービスを拡充してきました。これらのサービスが回数券よりも柔軟で安価な選択肢として利用されるようになったことも、回数券の需要減少につながりました。

3. 券売機での購入や管理の手間

回数券は券売機での購入が必要であり、複数枚を紛失しないように管理する手間がかかりました。ICカードは自動改札機にかざすだけで乗車できるため、このような手間がありません。

4. 効率化の推進

JR各社は、券売機での回数券販売や管理にかかるコストや手間を削減するために、より効率的な乗車券体系に移行する必要がありました。ICカードの普及により、回数券販売の必要性が薄れたことも廃止の要因の一つです。

回数券廃止の影響

回数券の廃止により、特定の区間を頻繁に利用する一部の利用者にとっては不便さを感じるかもしれません。しかし、前述したように、ICカードや他の割引サービスの充実により、ほとんどの利用者はそれほど大きな影響を受けないと思われます。

また、回数券の廃止はJR各社の財務状況にも影響を与えるでしょう。回数券の販売収入が減少するため、収益がわずかに減少する可能性があります。しかし、ICカードの普及によって自動改札機での運賃収受が効率化され、コスト削減につながるというメリットもあります。

全体として、JR回数券の廃止は、乗車券システムの近代化と効率化を図るための時代の流れであり、利用者にとって大きな影響を与えるものではないと考えられます。