路面電車が多い県はどこですか？

路面電車王国はどこだ？ 東西の雄、富山と東京、そして福井の独自路線

路面電車。チンチンと軽快な音を響かせながら街を縫うように走る姿は、どこかノスタルジックで、それでいて現代の街並みにも不思議と溶け込む。全国的に路線の縮小が進む中、今もなお多くの路面電車が活躍する県はどこだろうか？ その答えを探るべく、路面電車の現状に迫ってみよう。

まず頭に浮かぶのは、路面電車王国として名高い富山県だろう。富山地方鉄道が運営する市内軌道線は、環状線を中心に放射状に路線が伸び、富山市の交通網の要となっている。市内中心部はもちろん、住宅地や観光地にもアクセスし、市民の足として日常生活に深く根付いている。その路線網の充実ぶりは、まさに「路面電車の街」と呼ぶにふさわしい。

さらに、富山地方鉄道の魅力は、車両のバリエーションの豊富さにもある。レトロな雰囲気漂う旧型車両から、最新型の低床車両まで、様々な車両が運行されており、路面電車ファンならずとも、その多様性に目を奪われる。また、運賃も比較的安く、気軽に利用できる点も魅力の一つだ。

一方、路線数で言えば、東京都も忘れてはならない。都電荒川線は、三ノ輪橋から早稲田までを結ぶ、都内唯一の路面電車路線だ。沿線には、下町情緒あふれる商店街や、桜の名所として知られる飛鳥山公園など、魅力的なスポットが点在し、観光客にも人気が高い。特に、荒川遊園地前停留所付近は、バラが咲き誇る美しい景観で知られ、季節ごとに異なる表情を見せてくれる。

東京の路面電車は、近代化の中で多くの路線が姿を消した歴史を持つ。しかし、荒川線は地域住民の強い要望により存続が決定し、現在に至るまで、貴重な交通手段として、そして地域のシンボルとして愛され続けている。近年では、新型車両の導入やバリアフリー化なども進められ、時代に合わせた進化を遂げている点も注目に値する。

そしてもう一つ、注目すべきは福井県だ。福井鉄道は、市内を走る福武線を中心に、複数の路線を運営している。福井の路面電車の特徴は、郊外への延伸と、鉄道線との直通運転だ。路面電車でありながら、田園風景の中を走り抜け、時にはJR線と並走するなど、他の地域では見られない独特の路線形態となっている。これは、地方都市における路面電車の新たな可能性を示唆するものであり、今後の発展に期待が寄せられている。

このように、富山、東京、福井の3県は、それぞれ異なる特徴を持つ路面電車を運行し、地域交通の一翼を担っている。路線網の充実度、車両の多様性、歴史的背景、そして地域への貢献度など、それぞれの視点から見てみると、路面電車の魅力は尽きることがない。これらの地域を訪れる際には、ぜひ路面電車に揺られて、街の風景をゆっくりと楽しんでみてほしい。そして、路面電車が持つ独特の魅力、そしてその存在意義について、改めて考えてみてはいかがだろうか。