電車が通ってない都道府県はどこですか？

鉄道空白地帯：高知県と徳島県、その現状と理由、そして未来への展望

日本全国津々浦々、鉄道網が張り巡らされているイメージがありますが、実は、鉄道（JR、私鉄、地下鉄など）が全く通っていない都道府県が2つ存在します。それは、高知県と徳島県です（2024年現在）。この事実は、意外に知られていないのではないでしょうか。

しかし、注意すべき点があります。高知県には「とさでん交通」が運営する路面電車が、徳島県には「四国ケーブル」が運営するケーブルカーが存在します。あくまで「鉄道」という定義から外れるため、鉄道が「0」の県として数えられています。

では、なぜ高知県と徳島県には鉄道が通っていないのでしょうか。その理由を紐解くには、両県の地理的条件、歴史的背景、そして社会経済状況を考慮する必要があります。

高知県の場合：

高知県は四国の南部に位置し、険しい山々と太平洋に面した地形が特徴です。この地形的な制約が、鉄道敷設の大きな障壁となりました。建設コストが高騰し、維持管理も困難になるため、鉄道網の整備が後回しにされたと考えられます。また、高知県は人口密度が低く、鉄道需要が見込めなかったことも、鉄道敷設が進まなかった要因の一つです。代替交通手段として、道路網の整備が優先されたことも影響しているでしょう。

ただし、高知県の交通手段が全くないわけではありません。とさでん交通の路面電車は、高知市内を中心に市民の足として活躍しています。また、バス路線も充実しており、県内各地を結んでいます。

徳島県の場合：

徳島県もまた、四国山地の一部を抱え、平野部が少ない地形です。高知県と同様に、地形的な制約が鉄道敷設を困難にしました。さらに、徳島県は瀬戸内海に面しているため、古くから海運が盛んでした。そのため、鉄道よりも船舶輸送が重視され、鉄道網の整備が遅れたと考えられます。

四国ケーブルは、眉山への観光客輸送を担っています。ロープウェイも運行しており、眉山山頂からの景色は絶景です。これらの交通手段は、観光振興に貢献しています。

鉄道空白地帯の課題と未来：

鉄道が通っていないということは、交通アクセスが限られることを意味します。これは、地域経済の活性化や観光振興において、大きな課題となります。特に、高齢化が進む地方においては、移動手段の確保が重要です。

しかし、近年、鉄道の代替手段として、BRT（Bus Rapid Transit：バス高速輸送システム）や LRT（Light Rail Transit：次世代型路面電車システム）などの導入を検討する動きも出てきています。これらの交通システムは、鉄道よりも建設コストが低く、柔軟なルート設定が可能です。

また、自動運転技術の発展により、将来的には無人運転バスやタクシーが普及し、交通空白地帯における移動手段の確保がより容易になるかもしれません。

高知県と徳島県は、鉄道空白地帯という課題を抱えながらも、独自の交通システムを構築し、地域振興に取り組んでいます。今後の技術革新や政策によって、両県の交通事情がどのように変化していくのか、注目していきたいと思います。鉄道の未来は、必ずしも線路の上にだけにあるとは限りません。新たな交通手段が、地域を繋ぎ、活性化する可能性を秘めているのです。