キャッシュレス1番進んでる国？

キャッシュレス最先端国は？数字の裏側にある文化と政策

韓国が2020年時点で世界トップレベルのキャッシュレス決済比率93.6％を達成したことは周知の事実です。中国（83.0％）、オーストラリア（67.7％）といった国々も高い比率を示していますが、これらの数字を単純に比較することは、それぞれの国の社会経済状況や決済インフラ、そして国民の意識を考慮しなければ不正確です。 韓国のキャッシュレス化の成功の裏側には、どのような要因が潜んでいるのでしょうか。単なる数字の羅列ではなく、その背景にある複雑な要因を解き明かしながら、真に「キャッシュレス先進国」とは何かを考えてみましょう。

韓国のキャッシュレス化が急速に進んだ背景には、政府による強力な政策推進が挙げられます。政府は、クレジットカードやデビットカードの普及を積極的に支援し、モバイル決済システムの導入を促進してきました。 特に、韓国のモバイル決済アプリ「KakaoPay」や「Naver Pay」などは、日常生活における決済手段として完全に定着しており、国民の生活に深く根付いています。これらは、単なる決済アプリではなく、送金、ポイント管理、様々なサービスとの連携など、多機能なプラットフォームとして進化しており、その利便性が国民のキャッシュレス利用を後押ししています。 さらに、韓国政府は、中小企業へのキャッシュレス決済導入支援も積極的に行い、国民全体への浸透を図っています。

しかし、韓国の成功が他の国々でそのまま再現されるとは限りません。例えば、中国のキャッシュレス化は、アリペイや微信支付といった巨大IT企業が牽引する形で発展しており、そのシステムは韓国とは大きく異なります。これらのプラットフォームは、決済機能だけでなく、ソーシャルメディア、オンラインショッピング、ライドシェアなど、生活の様々な側面と密接に統合されています。 一方、オーストラリアのキャッシュレス化は、比較的成熟したクレジットカードインフラの上に成り立っており、韓国や中国のように特定のプラットフォームに依存する形とは異なります。

日本は、現金志向が根強く残る社会であり、キャッシュレス化は比較的遅れています。しかし、近年では政府による政策支援や、QRコード決済サービスの普及などにより、キャッシュレス化の動きは加速しています。 しかし、高齢者のデジタルリテラシーの課題や、地方部におけるインフラ整備の遅れなど、解決すべき課題も依然として存在します。

真に「キャッシュレス先進国」と呼ぶためには、単なる決済比率の高さだけでなく、以下の要素も考慮すべきです。

• インフラ整備の充実度: 全国どこでも安全かつスムーズにキャッシュレス決済が行えるインフラが整備されているか。
• 国民のデジタルリテラシー: 高齢者を含む全ての国民がキャッシュレス決済を容易に利用できるだけの知識とスキルを有しているか。
• セキュリティ対策の充実: 個人情報や決済情報の漏洩を防ぐためのセキュリティ対策が万全であるか。
• 社会的包摂: 低所得者層や高齢者など、全ての人々がキャッシュレス決済を利用できる環境が整っているか。

これらの要素を総合的に評価した上で、どの国が真にキャッシュレス先進国と言えるのかを判断する必要があります。 単なる数字にとらわれず、各国の社会構造や文化、政策を理解した上で、キャッシュレス化の現状と将来展望を多角的に捉えることが重要です。 そして、それぞれの国の強みや弱みを踏まえた上で、より良いキャッシュレス社会を目指していくことが求められます。