イタリア 朝食 何食べる？

イタリアの朝食、甘い誘惑： 何食べる？ “Dolce”な１日の始まり

イタリアの朝食は、シンプルながらも甘美な時間。朝焼けに染まる空の下、バルのカウンターでカプチーノを片手にコルネットを頬張る人々。慌ただしい日常が始まる前の、束の間の甘い誘惑。それは、イタリアの “dolce vita” 、甘い生活の縮図と言えるでしょう。

イタリアの朝食の主役は、何と言っても甘いパンやビスケット。中でも代表的なのは「コルネット (cornetto)」です。クロワッサンによく似ていますが、バターではなくマーガリンを使うのが一般的で、より軽い食感。プレーンなものの他に、ジャムやクリーム、チョコレートが詰まったものなど、様々なバリエーションがあります。

ビスケットも朝食の定番。スーパーマーケットには、棚一面に様々な種類の朝食用ビスケットが所狭しと並んでいます。「fette biscottate（フェッテ・ビスコッターテ）」と呼ばれる、乾パンのような薄いビスケットは特に人気。軽くトーストして、ジャムやヌテラを塗って食べます。他にも、リング状の「ビスコッティ (biscotti)」や、サクサクとした食感の「カンパニーニ (pasticcini)」など、多種多様なビスケットが存在します。

これらの甘いパンやビスケットは、そのまま食べるのはもちろん、コーヒーに浸して食べるのもイタリア流。カプチーノやカフェラテに浸すと、程よく柔らかくなり、また違った風味を楽しむことができます。朝食の定番ドリンクであるカプチーノは、エスプレッソにきめ細かく泡立てたミルクをたっぷり注いだもの。濃厚なコーヒーの香りとミルクのまろやかさが、甘いパンと絶妙にマッチします。

しかし、イタリアの朝食が全て甘いものだけではありません。地域によっては、塩気のあるものを好む人もいます。例えば、トスカーナ地方では、パンにトマトをこすり付けてオリーブオイルと塩をかけた「パン・コン・ポモドーロ (pane con pomodoro)」が朝食の定番。シンプルながらも素材の味が活きた、滋味深い味わいです。

また、ヨーグルトやフルーツを食べる人も増えてきています。健康志向の高まりとともに、朝食のバリエーションも広がりを見せているのです。

さらに、イタリアの朝食は家庭とバルで大きく異なります。家庭では、手軽に食べられるビスケットやヨーグルトが主流ですが、バルでは焼きたての香ばしいコルネットを楽しむことができます。バリスタが淹れてくれる淹れたてのエスプレッソと共に、朝の活気に満ちた雰囲気の中で味わうコルネットは格別です。

休日の朝、ゆっくりとカフェで朝食を楽しむのは、イタリア人の大切な習慣。友人や家族と語り合いながら、甘い香りに包まれる時間は、まさに至福のひととき。イタリアの朝食は、単なる食事ではなく、生活の一部であり、文化そのものなのです。

イタリアを訪れる機会があれば、ぜひ現地のバルで朝食を体験してみてください。きっと、甘く香ばしい香りと共に、忘れられない思い出となるでしょう。そして、スーパーマーケットで様々な種類のビスケットを探してみるのも楽しいかもしれません。きっと、あなたのお気に入りの”dolce”が見つかるはずです。