中国人はご飯を残すのはなぜですか?

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中国では、料理をあえて残すことが、もてなす側のメンツを立てる作法とされています。全て食べきってしまうと、用意した量が足りなかったという意味に捉えられかねないため、「満腹で食べきれないほど十分なご馳走だった」という意思表示として、少し残すことが礼儀とされています。

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中国人はご飯を残すのはなぜ?:もてなしの心と変化する食文化

中国で食事をしたことがある人は、食卓に残された料理を見て不思議に思ったことがあるかもしれません。日本では「もったいない」とされる行為ですが、中国では状況によっては、料理をあえて少し残すことがマナーとされています。これは一体なぜなのでしょうか?

古くから中国では、客人をもてなす際に、料理を山盛りに用意することが美徳とされてきました。「食べきれないほどの料理を用意する」ことで、客人への最大限の敬意と歓迎の意を表すのです。このような文化背景から、客人側も全ての料理を平らげてしまうと、「用意された料理が足りなかった」「もっと食べたかった」と受け取られ、もてなす側のメンツを潰してしまう可能性があります。

そのため、「お腹いっぱいご馳走様でした。十分な量をいただきました」というメッセージを伝えるために、あえて少し料理を残すことが礼儀正しい行為とされてきました。特にフォーマルな場や、目上の人をもてなす席では、この習慣が重視される傾向にあります。

しかし、近年ではこの習慣にも変化が見られます。特に若い世代を中心に、「食べ物を残すのはもったいない」という意識が高まっており、「光盤行動(クァンパン・シンドン)」と呼ばれる「食べ残しゼロ」運動も推進されています。習近平国家主席も食品ロス削減を呼びかけており、社会全体で食べ残しを減らす努力が続けられています。

レストランでも、以前は大皿料理が主流でしたが、近年では小皿料理を提供する店が増えています。これは、客が自分の食べられる量だけ注文しやすくすることで、食べ残しを減らすための工夫の一つです。また、食べきれなかった料理を持ち帰るための「打包(ダーバオ)」という文化も広く浸透しており、レストラン側も積極的に持ち帰り用の容器を提供しています。

さらに、家庭での食事においても、親世代から子世代へと「食べ物を大切にしよう」という教育が浸透しつつあります。昔のように無理に食べさせることは少なくなり、子どもの食欲に合わせて適量を提供する家庭が増えています。

このように、中国の食文化は時代と共に変化しており、料理を残すことの意味合いも変化しつつあります。もちろん、目上の人をもてなす席など、フォーマルな場では、今でも少し残すことが礼儀とされるケースもありますが、カジュアルな場面や友人同士の食事では、無理に残す必要はありません。むしろ、美味しく全て食べきることが感謝の気持ちを表す方法として受け入れられるようになってきています。

大切なのは、その場の状況や相手との関係性を考慮し、適切な行動をとることです。中国で食事をする際には、周りの人の様子を見ながら、臨機応変に対応することが大切です。そして、食べ物を大切にする心構えを持ち、美味しく楽しく食事をすることが、真のもてなしと言えるのではないでしょうか。