和食のデメリットは塩分不足ですか？

和食のデメリットは塩分不足ですか？という問いに対して、即答は「いいえ」です。むしろ、一般的に言われている和食のデメリットは、塩分過多であり、不足ではありません。 冒頭にも触れられているように、味噌汁をはじめとする多くの和食は、思っている以上に塩分を多く含んでいます。しかし、この「塩分過多」というデメリットは、現代の和食、特に家庭で手軽に作られる和食に多く見られる傾向であり、伝統的な、もしくはより意識的に作られた和食とは必ずしも一致しません。 本稿では、この点を踏まえ、和食における塩分摂取の問題点、そしてその背景にある要因を深く掘り下げていきます。

確かに、昔ながらの漬物や醤油などを用いた保存食中心の食生活では、塩分不足に陥る可能性も考えられます。しかし、現代の和食は、加工食品や外食の普及により、塩分摂取量が増加傾向にあります。コンビニのおにぎり、インスタント味噌汁、冷凍食品など、手軽に手に入る多くの和食関連商品は、塩分含有量が非常に高く設定されているケースが多いです。 これは、食品の美味しさを際立たせ、保存性を高めるための工夫である一方、健康面でのリスクを高める要因にもなっています。

塩分過多は、高血圧、脳卒中、心臓病といった深刻な生活習慣病のリスクを高めます。高血圧学会が推奨する1日の塩分摂取量6g未満という基準は、これらの疾病予防において重要な指標です。 しかし、前述の通り、味噌汁だけでも1日に推奨量の半分以上を摂取してしまう可能性があり、そこに醤油や塩分を多く含む漬物、濃い味付けの煮物などが加われば、簡単に推奨量を大幅に超えてしまいます。

和食が塩分過多になりやすい背景には、いくつかの要因が考えられます。まず、だし汁に醤油やみりん、砂糖などを加えた味付けが基本となっていること。うま味を出すために塩分を多く使う傾向があります。また、日本人の味覚は、比較的濃い味付けを好む傾向にあり、それが塩分摂取量の増加に繋がっている側面も否定できません。更に、家庭での料理において、塩分量を正確に計量せずに調理するケースも多く、無意識のうちに塩分過剰になっている可能性も高いでしょう。

では、和食のメリットを享受しつつ、塩分摂取量を抑えるためにはどうすれば良いのでしょうか？ ポイントは、塩分を控えめに調理すること、そして塩分を多く含む食品の摂取量を調整することです。 例えば、だし汁に使用する醤油の量を減らし、代わりに昆布や鰹節などの天然素材のうま味を活かす工夫や、減塩醤油を使用するといった方法があります。また、漬物は手作りすることで塩分量を調整したり、市販の減塩製品を選ぶことも有効です。 さらに、野菜を多く摂取することで、全体の塩分濃度を薄める効果も期待できます。

結論として、和食のデメリットは塩分不足ではなく、むしろ現代の生活様式における塩分過多にあると言えます。健康的な和食を楽しむためには、塩分摂取量に意識的に取り組むことが重要です。 伝統的な和食の知恵を活かしつつ、現代の食生活に合った塩分調整を行うことで、和食のメリットを最大限に享受できるはずです。 単に「和食」という枠にとらわれず、個々の料理における塩分量を把握し、調整していく姿勢が求められます。