意外な食べ物で日本発祥ではないものは?

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カレーライスです。インドを起源とするカレーがイギリス経由で日本に伝わり、独自の進化を遂げた料理です。明治時代に軍隊食として普及し、その後家庭料理として定着しました。小麦粉を使ったとろみのあるルーや、具材にジャガイモ、ニンジン、タマネギを使うのが一般的で、日本の国民食と言えるほど広く愛されています。
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意外な和食?カレーライスの知られざる真実と日本独自の進化

カレーライス。日本の食卓には欠かせない国民食とも言える存在だが、そのルーツは意外にも日本ではない。スパイシーな香りととろみのあるルー、ホクホクのジャガイモ、ニンジン、タマネギ。これぞ日本のカレーライスというイメージだが、実はインドを起源とし、イギリス経由で日本に伝来した料理なのだ。

カレーの起源はインド。様々なスパイスを駆使した複雑な香りと味わいが特徴で、地域や家庭によってレシピも多種多様だ。そのカレーがイギリスに伝わったのは18世紀、イギリス東インド会社がインドを植民地支配していた時代である。イギリス人はカレーの味に魅了され、本国に持ち帰り、独自の解釈を加えてアレンジしていった。小麦粉でとろみをつけたり、簡略化したレシピで作るようになったのもこの頃だ。そして、このイギリス風カレーが、明治時代に日本へと上陸する。

日本にカレーが伝わったきっかけは、海軍の兵食改革だった。当時の海軍は脚気による死者数が深刻な問題となっており、その原因が白米中心の食事によるビタミンB1不足であることが判明した。そこで、栄養価の高い西洋の食事を取り入れる必要性が叫ばれ、イギリス海軍の兵食を参考にカレーが採用されたのだ。イギリス海軍では、日持ちが良く、一度に大量に調理できるカレーは重宝されていた。

当初、海軍で提供されたカレーは、イギリス風の小麦粉でとろみをつけたものだった。しかし、日本人には馴染みのないスパイスの香りが強く、受け入れられない者も多かったという。そこで、日本人向けに試行錯誤が重ねられ、徐々に日本のカレーライスへと進化していく。鰹節や昆布などの和風だしを加えたり、醤油や味噌で風味を調整したりと、日本人の味覚に合うよう工夫が凝らされた。また、具材にも変化が見られ、インドやイギリスではあまり使われなかったジャガイモ、ニンジン、タマネギが定番となった。これらの野菜は日本で手に入りやすく、カレーの味にもよく馴染んだため、広く普及していったと考えられる。

明治時代後期から大正時代にかけて、カレーライスは海軍から陸軍、そして一般家庭へと徐々に広まっていった。手軽に作れること、栄養価が高いこと、そして何よりも美味しいことが、カレーライスが国民食へと成長する原動力となった。今では、家庭料理の定番だけでなく、学校給食、社員食堂、レストランなど、様々な場所で提供されている。レトルトカレーやカレールーなど、市販の商品も豊富で、いつでも手軽にカレーライスを楽しむことができる。

さらに、日本のカレーライスは、地域や家庭によって様々なバリエーションが存在するのも魅力の一つだ。北海道のスープカレー、金沢のカツカレー、大阪の自由軒名物カレーなど、地域独自の進化を遂げたカレーライスは、まさに日本の食文化の多様性を象徴していると言えるだろう。また、家庭でも、隠し味にチョコレートやコーヒー、インスタントコーヒー、りんご、はちみつなどを加えたり、様々な具材をアレンジしたりと、各家庭独自の味が受け継がれている。

このように、カレーライスは、インドを起源とし、イギリス経由で日本に伝わり、日本独自の進化を遂げた料理である。一見、日本の食卓に深く根付いているため、日本発祥と思われがちだが、その歴史を紐解くと、様々な文化が融合し、長い時間をかけて変化してきたことがわかる。カレーライスは、まさにグローバル化と食文化の融合を体現する、日本の国民食と言えるだろう。そして、これからも日本のカレーライスは、時代とともに変化し続け、新たな味を生み出していくに違いない。