精進料理の5種類は?

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精進料理は、飯椀、汁椀、坪椀、平椀(平皿)、椿皿の五種類の器を用いるのが基本です。それぞれの器には、ご飯、汁物、和え物、煮物(炒め物)、漬物と、料理の種類が決められています。器の種類と量を意識することで、見た目にも美しく、食事のマナーを重んじた精進料理が完成します。

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精進料理の五味五色五法:心と身体を調える食養生の奥深さ

精進料理と聞くと、質素で簡素な食事というイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、その奥には深い哲学と知恵が隠されています。単に肉や魚を使わないだけでなく、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)、五色(白、黒、赤、黄、緑)、五法(生、煮る、焼く、揚げる、蒸す)という五つの要素を意識し、心と身体を調えることを目的とした食養生なのです。

この記事では、一般的に知られている「飯椀、汁椀、坪椀、平椀、椿皿」という器の種類に加えて、精進料理の根幹をなす「五味五色五法」について詳しく解説します。

1. 五味:味覚の調和が心身を癒す

精進料理では、五味をバランス良く取り入れることが重要視されます。それぞれの味は、五臓(肝臓、心臓、脾臓、肺臓、腎臓)と深く結びついていると考えられており、特定の味が偏ると体調を崩す原因になるとされています。

  • 甘味: 疲労回復やエネルギー補給に役立ちます。米、麦、芋類、豆類などに多く含まれます。
  • 酸味: 消化を助け、食欲を増進させます。梅干し、柑橘類、酢などに含まれます。
  • 塩味: 体内の水分バランスを調整し、神経の働きを正常に保ちます。味噌、醤油、塩などに含まれます。
  • 苦味: 解毒作用や抗菌作用があり、肝臓の働きを助けます。野菜(ゴーヤ、春菊など)、お茶などに含まれます。
  • うま味: 食材本来の美味しさを引き出し、満足感を与えます。昆布、椎茸、トマトなどに含まれます。

2. 五色:視覚的な美しさが食欲を刺激する

彩り豊かな盛り付けも、精進料理の重要な要素です。五色を意識することで、見た目にも美しく、食欲をそそる料理になります。それぞれの色には、五行思想に基づいた意味があります。

  • 白: 清潔、純粋、始まりを象徴します。豆腐、大根、白菜などに用いられます。
  • 黒: 生命力、滋養強壮を象徴します。海苔、ひじき、黒豆などに用いられます。
  • 赤: 情熱、活力を象徴します。人参、トマト、唐辛子などに用いられます。
  • 黄: 豊穣、安定を象徴します。かぼちゃ、栗、さつまいもなどに用いられます。
  • 緑: 調和、成長を象徴します。ほうれん草、きゅうり、ネギなどに用いられます。

3. 五法:調理法の工夫が素材の旨味を引き出す

五法とは、食材を調理する際の代表的な五つの調理法のことです。同じ食材でも、調理法を変えることで味わいや食感が変化し、飽きさせない工夫が凝らされています。

  • 生: 素材本来の味や栄養をそのまま味わえます。野菜サラダ、刺身こんにゃくなどに用いられます。
  • 煮る: 素材を柔らかくし、味を染み込ませます。煮物、おでんなどに用いられます。
  • 焼く: 香ばしさを加え、風味豊かに仕上げます。焼きナス、焼き豆腐などに用いられます。
  • 揚げる: 食感を軽くし、油の旨味を加えます。野菜の天ぷら、厚揚げなどに用いられます。
  • 蒸す: 素材の旨味を閉じ込め、ふっくらと仕上げます。茶碗蒸し、蒸し野菜などに用いられます。

これらの五味五色五法を意識することで、精進料理は単なるベジタリアン料理ではなく、心身のバランスを整えるための奥深い食養生となるのです。日々の食生活に取り入れることで、心身ともに健康な生活を送ることができるでしょう。