飲食店で嬉しかったことは何ですか？

飲食店で働く喜びは、一言で言い表すにはあまりにも多様で、奥深いものです。華やかで忙しい厨房の光景や、満席のホールの活気だけが、この仕事の全てではありません。むしろ、それ以上に私を日々満たしてくれるのは、目に見えない、温かく繊細な「人間関係」から生まれる喜びなのです。

まず挙げたいのは、お客様との触れ合いです。初めて来店されたお客様が、料理を口にした時の驚きと喜びの表情。常連のお客様と、些細な出来事や近況を語り合える時間。 「美味しかったよ！」の一言は、何よりも大きな励みになります。それは単なる「お褒めの言葉」ではなく、自分が提供した料理、そして自分自身への肯定であり、この仕事に携わる大きな原動力となるのです。 ある日、常連のお客様から「あなたの笑顔が大好きで、ここに来るのが楽しみなんだ」と言われた時は、本当に嬉しくて、胸がいっぱいになりました。 単なる接客を超えた、心の通う繋がりを感じることができた瞬間でした。 その言葉は、辛い時にも何度も思い出して、自分を奮い立たせてくれます。

さらに、お客様との繋がりから生まれる意外な喜びもあります。例えば、お客様から「お孫さんの誕生日ケーキを作ってほしい」と頼まれたこと。厨房の仲間と協力して、最高のケーキを作り上げ、お客様から感謝の言葉をいただいた時は、言葉では言い表せない達成感がありました。それは、単なる仕事の枠を超え、お客様の人生の一部に携われたという、大きな喜びだったのです。 このような特別な出来事を通して、自分がお客様にとってかけがえのない存在になれる可能性を感じることが、この仕事の大きな魅力です。

そして、忘れてはならないのが、仲間との繋がりです。忙しい時間帯でも、お互いに声を掛け合い、助け合う。時には冗談を言い合い、笑い合う。そんな仲間の存在は、この仕事における心の支えです。 キッチンでは、ベテランのシェフから多くのことを学び、若いスタッフには自分の経験を伝え、共に成長していく喜びがあります。ホールスタッフとは、お客様への対応について意見を交換し、より良いサービスを目指して共に努力します。 時には意見が食い違うこともありますが、お互いを尊重し、建設的な議論を通して、より良いチームワークを築き上げていく過程も、また大きな喜びとなっています。

数字で表せない、この温かさ、この繋がりこそが、私にとって飲食店で働く最大の喜びであり、明日もこの仕事に臨むモチベーションの源泉なのです。 それは、単なる仕事ではなく、お客様と仲間との絆を育み、共に成長していく、かけがえのない人生の一部となっています。 これからも、お客様に喜んでいただけるよう、そして仲間と共に成長し続けられるよう、日々精進していきたいと思っています。