結婚すると扶養控除は受けられますか？

結婚すると、税金面での変化、特に扶養控除に関する変化は、多くの夫婦にとって大きな関心事です。 「結婚したら夫の税金が安くなる」というイメージは広く浸透していますが、実際には配偶者控除の適用要件を満たす必要があることを理解しておかなければなりません。単純に結婚しただけで、必ずしも夫が税金上の優遇措置を受けられるわけではないのです。本稿では、配偶者控除を中心に、結婚と税金、そして扶養に関するよくある疑問を解消していきます。

まず、重要なのは「扶養控除」という用語自体が、2023年度以降、廃止された点です。以前は、配偶者の収入が一定額以下であれば、配偶者控除を受けることができました。しかし、現在は「配偶者控除」に代わって「配偶者特別控除」と「配偶者控除の特例」が導入されています。 この制度変更によって、控除額や適用条件が複雑化しているため、正確な理解が必要です。

配偶者特別控除は、配偶者の年間所得が150万円以下である場合に適用されます。 この場合、夫は一定額の控除を受けることができます。 しかし、配偶者の所得が103万円を超える場合は、控除額が段階的に減少していくという仕組みです。つまり、配偶者の収入が増えるほど、控除額は小さくなり、所得が150万円を超えると配偶者特別控除は適用されなくなります。

一方、配偶者控除の特例は、配偶者の所得が150万円を超える場合でも、一定の条件を満たせば適用される可能性があります。この特例は、配偶者が病気や障害などで十分な収入を得られない場合などに適用され、控除額は配偶者の所得や障害の程度によって異なります。具体的な条件は国税庁のホームページ等で確認する必要があります。

さらに、配偶者の年収が200万円を超えると、そもそも扶養に入ることは困難です。 扶養に入るということは、配偶者が経済的に夫に依存している状態にあると見なされるため、高い収入を得ている場合は、扶養家族とはみなされません。この場合、夫は税金面でのメリットをほとんど得られません。

また、専業主婦（夫）の場合であっても、生命保険金や年金、配当金などの収入があれば、これらの収入も所得に算入されるため、配偶者特別控除の適用に影響を与える可能性があります。

結論として、結婚によって必ずしも夫の税金が軽減されるわけではありません。 配偶者特別控除や配偶者控除の特例を受けるためには、配偶者の収入やその他の条件を満たす必要があります。 正確な控除額や適用要件を確認するためには、税理士や国税庁のホームページなどを活用し、自身の状況に合わせた適切な情報を集めることが重要です。 安易な期待を抱くことなく、事前にしっかりと情報を収集し、正確な理解に基づいて計画を立てることが、結婚後の税金対策において不可欠です。 税金制度は複雑で変更される可能性もありますので、常に最新の情報を確認するように心がけましょう。