「とんでもないことです」は正しい敬語ですか？

「とんでもないです」は正しい敬語？ビジネスシーンでの適切な敬語表現

「とんでもないです」は、日常生活ではよく使われ、驚きや感謝を表す表現として親しみを込めた印象を与えます。しかし、ビジネスシーンや目上の方とのやり取りでは、必ずしも適切な敬語とは言えません。この言葉の使い分けと、より丁寧な表現について深く掘り下げていきましょう。

「とんでもないです」は、もともと「とんでもない」という表現が持つ、やや強めのニュアンスが影響しています。「とんでもない」とは、驚くべき事態、予想外のこと、または非常に悪いことなどを指し、ある程度の感情的な色彩を帯びています。ビジネスシーンでは、この感情的な色彩が、相手への敬意を損なう可能性があります。

具体的に、どのような状況で「とんでもないです」が不適切となるのか見てみましょう。

例えば、上司から「この資料、素晴らしいですね！」と褒められたとします。この場合、「とんでもないです」は、感謝の気持ちを示すには少々強すぎます。

「素晴らしいですね」という褒め言葉に対して、「とんでもないです」と答えるのは、まるで「そんなことないですよ」と軽く流しているように聞こえるからです。誠実な感謝の気持ちを伝えたいのであれば、「ありがとうございます」「光栄です」「恐縮ですが、喜んでいただけて嬉しいです」といった表現の方が丁寧で、かつ適切です。

また、「とんでもないことです」という言い方も同様の問題点があります。「とんでもない」という表現が持つ強い感情が、丁寧さを損なってしまうのです。「とんでもないことです」は、驚きや否定を強調する表現であり、場合によっては相手を不快にさせる可能性があります。

ビジネスシーンでは、相手への敬意を第一に考え、言葉を選ぶことが大切です。驚きの感情を抑えつつ、丁寧な言葉遣いを心がけることが重要です。上司からの褒め言葉に対しては、「ありがとうございます」「大変光栄です」といった、感謝をより丁寧に伝える表現が適しています。

謝罪の場面でも同様です。例えば、ミスをしてしまった場合、「とんでもないです」は、少々軽すぎます。誠意を示すために、「大変申し訳ございません」「お詫び申し上げます」「至らぬ点があり申し訳ございません」などの表現を用いるべきでしょう。

「とんでもないです」は、日常会話では問題ない場合もありますが、ビジネスシーンでは、より丁寧で適切な表現を心がける必要があります。状況に合わせて言葉を選ぶことで、相手への敬意を払い、より円滑なコミュニケーションを図ることができます。

さらに、文法的に誤っている「とんでもないざいます」のような表現は、決して避けなければなりません。敬語の基本を理解し、正確な敬語表現を心がけることが重要です。

「恐れ入ります」「申し訳ございません」「ありがとうございます」など、具体的な状況に合った表現を積極的に学習し、使いこなせるように心がけていくことが大切です。

要約すると、「とんでもないです」は、ビジネスシーンにおいては、軽率で失礼に聞こえる可能性があります。フォーマルな場面では、より丁寧で適切な敬語表現を使うべきです。状況に合わせて、様々な表現を学ぶことで、より円滑なコミュニケーションを築いていくことができます。