致しますといたします、どちらが正しいですか?

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「致します」と「いたします」の使い分けは、文脈における動詞の自立性にかかっています。「致します」は独立した動詞として、丁寧な表現を強調したい際に用いられます。「いたします」は補助動詞として、他の動詞をより丁寧に表現する際に用います。漢字とひらがなの選択は、動詞の役割を明確にする重要な要素です。

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「致します」と「いたします」:迷わないための丁寧語講座

「致します」と「いたします」。どちらも丁寧な表現としてビジネスシーンなどでよく用いられますが、いざ自分が使うとなると「どっちが正しいの?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

この二つの表現、実は明確な使い分けのルールが存在します。単に「丁寧さ」の度合いが違う、というわけではないのです。

肝は「動詞の自立性」

使い分けのポイントは、その動詞が文の中で自立しているか、それとも補助的な役割を担っているかです。

1. 「致します」:独立した動詞としての活躍

「致します」は、それ自体が意味を持つ、独立した動詞として機能します。つまり、「する」という動作を丁寧に表現したい場合に用いられます。

例:

  • 「明日の会議の準備は、私が致します。」(「する」という動作を私が担当することを強調)
  • 「ご指示いただいた件は、速やかに致します。」(「する」という動作をすぐに行うことを表明)

この場合、「致します」を「いたします」に置き換えてしまうと、文法的に間違いではありませんが、少しニュアンスが変わってしまいます。「致します」の方が、より主体的に行動するという印象を与えます。

2. 「いたします」:他の動詞をサポートする名脇役

「いたします」は、他の動詞にくっついて、その動詞の丁寧さを高める、補助動詞としての役割を担います。

例:

  • 「ご説明いたします。」(「説明する」という動詞をより丁寧に)
  • 「ご連絡いたします。」(「連絡する」という動詞をより丁寧に)
  • 「参加いたします。」(「参加する」という動詞をより丁寧に)

この場合、「ご説明致します。」「ご連絡致します。」「参加致します。」とすると、文法的には間違いではありませんが、少し違和感があります。「致します」は、独立した動詞として使われるべきだからです。

より具体的に:例文でチェック!

以下の例文で、さらに理解を深めましょう。

  • 正しい例:
    • 「本日は、誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。」(「お願いする」という動詞を丁寧に)
    • 「資料を添付いたしますので、ご確認ください。」(「添付する」という動詞を丁寧に)
    • 「私が責任を持って致します。」(「する」という動作を強調)
  • 間違いではないが、より自然な例:
    • 「ご返信致します。」 → 「ご返信いたします。」
    • 「確認致します。」 → 「確認いたします。」

まとめ

「致します」と「いたします」の使い分けは、一見複雑に見えますが、動詞の自立性を意識すれば簡単に区別できます。

  • 「致します」:独立した動詞として、「する」という動作を強調したい場合。
  • 「いたします」:他の動詞を補助し、丁寧さを高めたい場合。

この知識を活用して、より正確で洗練された日本語表現を目指しましょう。自信を持って「致します」と「いたします」を使いこなせるようになれば、あなたのコミュニケーションスキルは間違いなく向上するはずです。