英語を話せる日本人の割合は?

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日本の英語話者率は28.8%と高く、中国語(6.0%)、韓国語(3.6%)が続く。これは、国際語としての英語の重要性と、地理的近接性による中国語・韓国語習得の高さを反映している。スペイン語やフランス語も上位にランクインし、多様な言語への関心の高さが伺える。

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日本における英語話者率:数字の裏側にある現実と課題

インターネット上でよく見かける「日本人の英語話者率は28.8%」という数字。一見すると高いように感じられますが、この数字だけを見て日本の英語事情を理解するのは早計です。この数字の裏には、様々な要因と、日本が抱える英語教育の課題が隠されています。

まず、この28.8%という数字が何を意味するのかを明確にする必要があります。これは、ある調査における自己申告による「英語を話せる」と答えた人の割合を示しているに過ぎません。つまり、流暢にビジネスレベルで英語を操る人もいれば、簡単な挨拶や道案内程度しかできない人も含まれている可能性があります。

より客観的な指標として、TOEFLやTOEICといった英語能力試験のスコアを見てみましょう。これらの試験における日本人の平均スコアは、アジア諸国の中でも決して高いとは言えません。むしろ、近隣の韓国や中国、さらには東南アジア諸国と比較しても、低い水準にとどまっているのが現状です。

なぜこのような乖離が生じるのでしょうか?その理由の一つに、日本の英語教育における問題点が挙げられます。長年、日本の英語教育は文法中心で、実践的なコミュニケーション能力の育成に重点が置かれてきませんでした。多くの日本人が、中学・高校と6年間英語を学んだにも関わらず、「読み書きはできるが話せない」という状況に陥っているのです。

また、日本社会における英語の必要性が、グローバル化が進む現代においても、まだ十分に認識されていないという側面もあります。一部の業界や職種では英語が必須スキルとなっていますが、多くの企業では日本語のみで業務を遂行することが可能です。そのため、英語学習のモチベーションが上がりにくいという現状も存在します。

しかし、近年、日本の英語教育は大きな転換期を迎えています。文部科学省は、小学校における英語教育を必修化し、より実践的なコミュニケーション能力の育成を目指したカリキュラムへとシフトしています。また、多くの企業が社員の英語能力向上を支援するための研修制度を導入したり、TOEICなどの資格取得を奨励したりする動きも活発化しています。

28.8%という数字は、日本の英語話者率の一つの側面を示しているに過ぎません。重要なのは、この数字を鵜呑みにするのではなく、その背景にある現実と課題を理解し、今後の英語教育や社会全体の意識改革を通じて、日本における英語コミュニケーション能力を向上させていくことでしょう。真に「英語を話せる」人材を育成し、グローバル社会で活躍できる日本人が増えることを期待します。