エンジンオイルは別名何といいますか?

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エンジンを保護する潤滑剤として用いられるオイルには、広義ではすべて「エンジンオイル」という呼び方ができます。特に4サイクルガソリンエンジン用のものは「モーターオイル」と呼ばれることが多く、この呼び分けが古くから行われています。

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エンジンオイルは、その用途や種類、さらには時代や地域によって様々な呼び名を持ちます。単に「エンジンオイル」という呼び方が最も一般的であり、広義にはあらゆる種類のエンジンに使用される潤滑油を指します。しかし、その奥深くには、より具体的な名称や、時に俗称とも呼べるような呼び方が存在し、それらはエンジンの種類やオイルの特性、そしてユーザーの認識など、多様な要因によって生み出されています。

冒頭で述べたように、「モーターオイル」は特に4サイクルガソリンエンジン用のオイルを指す呼び方として広く浸透しています。これは、自動車の普及と共に定着した呼び方で、特に一般消費者向けには分かりやすく、親しみやすい表現と言えるでしょう。 ガソリンエンジンが自動車の主流であった時代の名残であり、現在でも多くの自動車整備工場やカー用品店では、この呼び方を用いるケースが多いです。 しかし、これは厳密には「エンジンオイル」の全てを包含するものではなく、ディーゼルエンジン用や、2サイクルエンジン用オイルは通常「モーターオイル」とは呼ばれません。

一方、より専門的な分野では、オイルの粘度や規格、添加剤の種類などによって更に細かく分類され、それぞれに固有の名称や略称が用いられます。例えば、SAE粘度規格に基づいた「10W-30」や「5W-40」といった表記は、オイルの低温粘度と高温粘度を示し、オイル選びにおいて重要な指標となります。また、API規格(アメリカ石油協会)による分類では、ガソリンエンジン用を「SA」から「SN」までのグレードで、ディーゼルエンジン用を「CA」から「CK-4」までのグレードで分類しています。これらの規格名は、オイル缶に記載されており、整備士や自動車愛好家にとっては、オイルの性能や適合性を判断する上で不可欠な情報となります。

さらに、オイルの機能性に着目した呼び名もあります。例えば、「高性能エンジンオイル」、「省燃費エンジンオイル」、「低摩擦エンジンオイル」などは、それぞれオイルの特性を強調した表現です。これらの名称は、メーカーが製品の差別化を図るために用いることが多く、消費者がオイルを選ぶ際の判断材料の一つとなります。 また、添加剤の種類に注目した「ハイブリッド車用オイル」、「ターボ車用オイル」といった、特定のエンジンタイプに最適化されたオイルも存在します。

そして、地域や世代による俗称も存在します。古くから車に携わってきた人々は、特定のブランド名や、オイルの性質を反映した独自の名前でオイルを呼ぶケースも見られます。例えば、特定のブランドのオイルを「あの赤い缶のオイル」と呼ぶなど、共通の認識に基づいた呼び方が、地域やコミュニティ内で使われている可能性があります。

このように、「エンジンオイル」というシンプルな名称の裏には、多様な呼び名が存在しています。それぞれの名称には、オイルの性質、用途、時代背景、そしてユーザーの認識が反映されており、単なる潤滑油という枠を超えた、豊かな歴史と文化を垣間見ることができます。 適切なオイルを選択するためには、これらの呼び名とそれぞれの意味を理解し、自身の車両や使用状況に最適なオイルを選ぶことが重要です。 決して「エンジンオイル」という呼び名だけで済ませず、その奥に潜む多様な世界を理解することで、愛車のエンジンをより長く、より健やかに保つことができるでしょう。