ディーゼルエンジンオイルとガソリンエンジンオイルの違いは何ですか?

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ディーゼルエンジンオイルは、硫黄酸化物を中和するアルカリ性添加剤を含有し、腐食を防ぎます。ガソリンエンジンオイルには、この特性はなく、ディーゼルエンジンの過酷な環境下では十分な保護性能を発揮できません。ディーゼルオイルは、より高い洗浄分散性も備えています。

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ディーゼルエンジンオイルとガソリンエンジンオイル:その違いはどこにあるのか?

現代の自動車の心臓部、エンジン。その滑らかな動作と長寿命を支えるのがエンジンオイルです。一見同じように見えるオイルですが、ディーゼルエンジン用とガソリンエンジン用では、その特性に大きな違いがあります。単に「オイル」と呼ぶのではなく、それぞれのエンジンの特性に合わせて最適化されたオイルを使用することが、愛車の性能維持に不可欠です。

ディーゼルエンジンとガソリンエンジンでは、燃焼方式や運転条件が大きく異なります。ディーゼルエンジンは、高温高圧下で燃料を自己着火させるため、ガソリンエンジンに比べてすすや煤の発生量が多く、燃焼過程で発生する硫黄酸化物も多く含まれます。これらの物質はエンジン内部を腐食させ、オイルの劣化を促進する原因となります。

ディーゼルエンジンオイルはこの過酷な環境に対応するため、ガソリンエンジンオイルにはない特別な添加剤が配合されています。特に重要なのが、アルカリ性添加剤(TBN:全塩基価)です。TBNが高いほど酸中和能力が高く、硫黄酸化物による腐食からエンジンを守ることができます。ディーゼルエンジンオイルは、このTBN値がガソリンエンジンオイルに比べて高く設定されています。まるで強力な盾のように、エンジン内部を腐食から守る役割を果たしているのです。

さらに、ディーゼルエンジンオイルは、洗浄分散性にも優れています。すすや煤などの不純物をオイル中に分散させ、エンジン内部にスラッジ(ヘドロ状の汚れ)が蓄積するのを防ぎます。これにより、エンジン内部を清潔に保ち、スムーズな動作を維持することができます。高性能ディーゼルエンジンでは、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)の詰まりを抑制する効果も期待できます。

一方、ガソリンエンジンオイルは、ディーゼルエンジンオイルほどの高いTBNや洗浄分散性は必要ありません。ガソリンエンジンの燃焼はディーゼルエンジンに比べてクリーンであり、発生するすすや煤の量も少ないためです。代わりに、ガソリンエンジンオイルは、摩擦低減性能に重点が置かれています。燃費向上やエンジンレスポンスの向上に貢献する、より滑らかなオイル膜を形成するように設計されています。

近年では、省燃費性能を高めるために、ガソリンエンジンオイルの粘度が低くなっています。0W-20や0W-16といった低粘度オイルは、エンジン内部の抵抗を減らし、燃費向上に大きく貢献します。しかし、これらの低粘度オイルをディーゼルエンジンに使用すると、油膜切れを起こし、エンジンに深刻なダメージを与える可能性があります。

このように、ディーゼルエンジンオイルとガソリンエンジンオイルは、それぞれ異なる特性を持っています。間違ったオイルを使用すると、エンジンの性能低下や故障につながる可能性があります。愛車の取扱説明書に記載されている推奨オイルを使用することが、エンジンを最適な状態で維持する上で非常に重要です。

また、オイルの交換時期についても注意が必要です。走行距離や使用環境によってオイルは劣化するため、定期的な交換が必要です。ディーゼルエンジンオイルは、すすや煤の発生量が多いため、ガソリンエンジンオイルよりも交換頻度が高くなる傾向があります。

エンジンオイルは、エンジンの寿命を左右する重要な要素です。正しいオイルを選び、適切なメンテナンスを行うことで、愛車の性能を最大限に引き出し、長く快適なドライブを楽しむことができます。 エンジンオイル選びに迷った時は、専門家や整備士に相談してみるのも良いでしょう。