技適マークはなぜ郵便マークなのですか?

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技適マークに郵便マーク「〒」が使われているのは、総務省がその認証を所管しているためです。「〒」はかつて郵政省(現在の総務省の前身)が使用していたもので、カタカナの「テ」を図案化したものです。このマークは、電波法に基づく無線機器の認証を象徴しており、決して郵便物とは関係ありません。
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技適マーク、あの小さな「〒」マーク。一見、郵便物を連想させるそのデザインは、多くのユーザーを戸惑わせるかもしれません。なぜ無線機器の認証に、郵便マークが用いられているのでしょうか? 単なる偶然の一致ではなく、その背景には日本の行政組織の変遷と、歴史的経緯が深く関わっています。

「〒」マークは、ご存知の通り、郵便番号を表す記号として広く認知されています。しかし、その起源は郵政省(現在の総務省の前身)が使用していたマークであり、カタカナの「テ」を図案化したものです。 「テ」は「手紙」の「テ」であり、郵便業務との密接な関係性を示唆しています。 戦後、日本の郵便事業が発展し、効率的な郵便システムの構築に「〒」マークは大きく貢献しました。 国民にとって「〒」は、郵便、ひいては通信という概念と強く結びついた、親しみ深いシンボルとなったのです。

では、なぜ郵政省由来のマークが、無線機器の認証である技適マークに使われているのでしょうか? それは、電波法の所管官庁が、長らく郵政省、そしてその後継である総務省であることに起因します。

電波法は、電波の利用を規制し、国民の安全と秩序を守るための法律です。当初、無線通信技術は、主に郵便・通信事業と密接に関連していました。 無線電信や無線電話といった技術は、遠隔地との通信手段として、郵便事業の効率化や発展に貢献したのです。 そのため、電波の管理・規制を行う機関として、郵政省が自然な形でその役割を担うことになったと考えられます。

そして、電波法に基づく無線機器の認証制度が確立される際、既存の郵政省のシンボルマークである「〒」を流用することが、合理的な選択だったと推測できます。 新しいマークをデザインし、国民に理解してもらうよりも、既に広く認知され親しみのある「〒」を使用する方が、行政コストの削減や国民への周知という点で効率的だったと言えるでしょう。

さらに、総務省が所管する他の認証制度にも、この「〒」を由来とするマークが用いられているケースがあります。 これは、総務省が所管する様々な通信関連技術やサービスにおける統一感、あるいは歴史的なつながりを視覚的に表現しているとも解釈できます。

しかし、近年では「〒」マークが郵便物以外に用いられることに対する誤解や、技適マークの認知度向上のため、デザインの変更を求める声も出ています。 確かに、無線機器と郵便との直接的な関係は薄れてきており、「〒」マークの継続使用は、その意味を理解していないユーザーにとって混乱を招く可能性も否定できません。

将来、技適マークのデザインが変更される可能性も十分に考えられます。しかし、その背景には、日本の行政組織の変遷、そして「〒」マークが持つ歴史的な重みと、その合理性に基づいた選択があったことを忘れてはならないでしょう。 小さな「〒」マークに秘められた歴史的経緯を知ることは、日本の行政システムや通信技術の発展を理解する上で、重要な一歩となるはずです。 一見単純に見えるマークにも、複雑な歴史と理由が隠されているという事実こそが、このマークをより興味深いものとしているのです。