電波法で禁止されていることは何ですか？

電波法は、私たちの日常生活に不可欠な無線通信を円滑かつ安全に利用するための基盤となる法律です。携帯電話、Wi-Fi、ラジオ、テレビ放送など、現代社会を支える多くの技術が電波を利用しており、その利用を適切に管理することで、社会全体の利益を確保することが目的です。しかし、電波は有限な資源であり、無秩序な利用は、電波障害や健康被害といった深刻な問題を引き起こす可能性があります。そのため、電波法では、様々な行為を禁止し、厳しい罰則を規定しています。

では、具体的に電波法で禁止されていることとはどのようなものなのでしょうか。大きく分けて、以下の3つのカテゴリーに分類できます。

1. 無線設備の不正な製造・販売・使用に関する規制:

これは電波法違反の最も多いカテゴリーの一つです。具体的には、以下の行為が禁止されています。

• 免許・許可を受けずに無線設備を使用すること: 電波を発射する全ての無線設備は、原則として総務省の免許または許可が必要です。免許・許可を得ずに無線設備を使用すると、電波障害を引き起こしたり、不正な通信が行われたりする可能性があり、厳しく罰せられます。例えば、特定小電力無線局の免許なしでトランシーバーを使用したり、アマチュア無線局の免許なしで無線機を使用したりすることがこれに該当します。特に、免許不要の無線機器であっても、出力の変更や改造など、技術基準に適合しない状態で使用することも違法です。

• 技術基準に適合しない無線設備の製造・販売・使用: 無線設備は、総務省が定める技術基準に適合している必要があります。適合しない無線設備は、電波障害の原因となりやすく、安全にも影響を及ぼす可能性があります。そのため、技術基準に適合しない無線設備の製造、販売、使用は厳しく禁じられています。これは、海外から個人輸入した無線機器が日本の技術基準に適合していない場合も含まれます。

• 無線設備の不正な改造: 無線機器の出力増強や周波数変更など、許可なく改造することも違法です。これは、電波障害の発生リスクを高めるだけでなく、機器の故障や発火などの危険性も伴います。

2. 電波の不正な利用に関する規制:

電波そのものの不正利用も厳しく禁じられています。

• 他人の無線通信を妨害すること: 意図的か否かに関わらず、他人の無線通信を妨害する行為は禁止されています。例えば、強力な電波を発射して近隣のWi-Fiを妨害したり、無線局の運用を妨害する電波を発射したりすることが該当します。

• 不正な電波の発射: 免許や許可なく、電波を発射することも違法です。これは、意図的な妨害だけでなく、機器の故障などによる偶発的な発射も含まれます。

• 電波暗号化技術の不正使用: 特定の暗号化技術を使用するには、免許や許可が必要な場合があります。許可なくこれらの技術を使用することは違法です。

3. その他の規制:

• 電波利用に関する情報の虚偽報告: 電波利用に関する申請や報告に虚偽の情報を記載することも違法です。

• 電波法令の遵守義務の怠慢: 電波法や関連法令を遵守する義務があり、その義務を怠ることも違法となる場合があります。

電波法違反は、罰金や懲役といった重い罰則が科せられる可能性があります。無線機器を使用する際には、必ず電波法を遵守し、安全で円滑な電波利用に貢献することが重要です。疑問点があれば、総務省のホームページや関係機関に問い合わせることをお勧めします。 自己判断で運用を行うことは危険であり、必ず専門機関に相談することを推奨します。