練り物を天ぷらと呼ぶのはなぜですか?

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関東で「さつま揚げ」と呼ばれる魚介練り物の揚げ物は、関西では「天ぷら」と呼ばれます。これは、地域による呼称の違いであり、材料や調理法に本質的な差異はありません。「天ぷら」の語源は諸説ありますが、関西における練り物揚げへの適用は、その歴史的経緯や文化的な背景が深く関わっていると考えられます。博多の「丸天うどん」も同様の呼称例です。

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なぜ練り物を天ぷらと呼ぶのか

日本で魚介をすり身にした練り物を揚げた料理は、関東では「さつま揚げ」、関西では「天ぷら」と呼ばれます。一見すると異なる料理のようですが、材料や調理法に本質的な違いはありません。この呼称の違いは地域によるもので、その由来をたどると、興味深い歴史的背景や文化的な因縁が見えてきます。

天ぷらという語源

「天ぷら」の語源には諸説ありますが、ポルトガル語で揚げ物を意味する「テンぷら(tempero)」が由来とする説が有力です。16世紀にポルトガル人宣教師が来日した際に、彼らの食べていた揚げ物が日本の料理人と庶民に広まり、日本風にアレンジされて「天ぷら」と呼ばれるようになったとされています。

関西における練り物揚げの呼称

関西では、練り物揚げ物が「天ぷら」と呼ばれるようになりました。その理由については、いくつかの説があります。

  • 江戸時代からの慣習:江戸時代には、大阪から江戸に多くの料理人が出稼ぎに行っていたため、大阪の食文化が江戸に持ち込まれました。その際、「天ぷら」という呼称も一緒に広まったと言われています。
  • 上方落語の影響:上方落語では、練り物揚げ物を「天ぷら」と呼ぶことがしばしばありました。落語が庶民の娯楽として親しまれていたこともあり、この呼称が関西で定着していったと考えられます。
  • 文化的な影響:関西はもともと、上方文化の中心地でした。上方文化では、粋で洗練されたものが好まれ、練り物揚げ物を「さつま揚げ」ではなく「天ぷら」と呼ぶことで、より格調高い響きを持たせていた可能性があります。

博多の「丸天うどん」

博多の郷土料理である「丸天うどん」も、練り物揚げ物を「天ぷら」と呼ぶ例です。この場合、「丸天」は練り物ではなく、丸い形をしたすり身団子ですが、やはり「天ぷら」とされています。これは、博多が九州地方に位置しており、関西文化の影響を受けていたことが背景にあるとされています。

まとめ

練り物を天ぷらと呼ぶのは、地域による呼称の違いです。関西では、歴史的経緯や文化的背景から、練り物揚げ物を「さつま揚げ」ではなく「天ぷら」と呼ぶようになりました。この呼称は現在も関西で広く用いられており、関西の食文化を語る上で欠かせない要素となっています。