特定技能の渡航費は誰が負担するのですか?

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特定技能ビザでの来日にかかる渡航費は、原則として本人負担です。ただし、企業が負担を申し出て本人が同意した場合、または日本と出身国の二国間協定で企業負担が定められている場合は、企業が負担することになります。

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特定技能ビザによる渡航費:誰が負担するのか?その実態と課題

特定技能制度は、日本における深刻な人手不足を解消するため、外国人の受け入れを拡大する制度として注目を集めています。しかし、この制度を利用して日本に渡航する外国労働者にとって、渡航費用の負担は大きな課題の一つとなっています。多くの場合、渡航費用は高額であり、その負担の有無や方法は、渡航者にとって大きな影響を与えます。本稿では、特定技能ビザ取得者の渡航費の負担主体について、現状、例外ケース、そしてその背景にある問題点までを掘り下げて考察します。

まず、原則として、特定技能ビザで来日する外国労働者の渡航費用は本人負担です。これは、法令上明記されているわけではなく、制度設計における基本的な考え方として理解されています。多くの場合、航空券代、空港送迎費用、ビザ申請費用、そして場合によっては健康診断費用なども含まれます。これらの費用は、国籍や出身地、そして利用する航空会社や交通手段によって大きく変動するため、数万円から数十万円に及ぶこともあります。渡航者にとっては、この高額な費用が、日本での生活を始める上での最初の大きなハードルとなるのです。

しかし、この原則には例外が存在します。一つ目は、受け入れ企業が渡航費用の負担を申し出て、本人が同意した場合です。これは、企業が優秀な人材を確保するために、積極的に渡航費用を支援するケースです。企業にとって、特定のスキルを持つ熟練労働者は貴重な存在であり、その獲得には積極的な投資が必要となる場合があります。特に、競争の激しい業界や、高度な専門知識・技能を必要とする分野では、この傾向が強くなると考えられます。企業が費用を負担することで、優秀な人材の確保が容易になり、ひいては企業の生産性向上にも繋がることが期待されます。ただし、これはあくまで企業の善意や経営判断に依存しており、必ずしも全ての企業が負担してくれるとは限りません。

二つ目の例外は、日本と出身国の二国間協定で企業負担が定められている場合です。これは、特定の国家との間で締結された協定に基づき、企業が渡航費用を負担することが義務付けられているケースです。この場合、企業は法的に渡航費用の負担を負うこととなり、渡航者にとって大きな安心材料となります。しかし、現時点では、このような協定を結んでいる国は限定的です。

しかし、これらの例外を除けば、多くの特定技能ビザ取得者は、自身の渡航費用を自己負担せざるを得ません。この状況は、特に経済的に恵まれない地域出身者にとって大きな障壁となっています。渡航費用の負担が、特定技能制度の活用を阻む要因となり、制度の有効性を阻害する可能性も指摘されています。

さらに、渡航費用に加えて、来日後の初期費用(住居費、生活費など)についても、大きな負担となります。渡航費用と初期費用を合わせた額は、多くの場合、数ヶ月分の生活費に相当します。そのため、渡航者の中には、高額な費用を調達するために、多額の借金を負わざるを得ない者もいると推測されます。このような状況は、渡航者の生活の安定性を脅かし、ひいては日本の社会全体の安定にも影響を与える可能性があります。

今後、特定技能制度の更なる発展のためには、渡航費用に関する課題への対策が不可欠です。例えば、政府による渡航費用の一部補助や、低金利融資制度の導入などが考えられます。また、企業側の負担を促進するための政策的な支援も必要です。これらの課題解決に向けた具体的な方策を検討し、より公正で持続可能な特定技能制度の構築を目指すことが重要です。