不祝儀の閉じ方は？

不祝儀袋の正しい閉じ方、そしてその裏にある弔意の精神

不祝儀の際に、故人や遺族への弔意を伝える重要な要素の一つに、不祝儀袋の扱いがあります。単にお金を包むだけでなく、その丁寧な包み方、特に閉じ方一つにも、故人への敬意と遺族への配慮が表れます。 ただ単に「お金を入れる」という行為を超え、故人への感謝と弔意を込めた、繊細な作法と言えるでしょう。

冒頭で述べたような「中袋を中央に置き、右、左、下、上と折り、最後に折り込み口を上から下へ」という手順は、確かに一般的な方法です。しかし、この手順だけで終わらせてしまうのは、少々味気ないかもしれません。なぜなら、この手順には弔意を込めるための、より深い意味が隠されているからです。

まず、使用する不祝儀袋自体に注意が必要です。黒白のシンプルな袋を選び、金銀の装飾や華美なデザインは避けましょう。 そして、中袋は必ず使用します。これは、直接お金を不祝儀袋に入れることを避けるためです。お金は、故人や遺族への弔意を表す「供物」であり、直接触れることによって不敬にあたるという考え方が根底にあります。中袋を使うことで、この点を丁寧に配慮していることを示せるのです。

中袋にお金を入れる際にも、向きに気をつけましょう。お札は、新札ではなく、多少のしわがあっても構いません。新品同様の札を使うことは、故人の死を軽んじていると受け取られる可能性があります。また、お札の向きは、肖像が故人の方を向くように入れるのが一般的です。これは、故人に敬意を表すという意味合いが込められています。

そして、いよいよ不祝儀袋の閉じ方です。先程の手順を改めて見てみましょう。「右、左、下、上」と折り重ねる順番は、慶事とは逆です。これは、弔意を表す独特の作法であり、慶事の華やかさとは対照的に、慎み深さを示す重要なポイントです。 単なる作業ではなく、故人への最後の送別への思いを込めて、ゆっくりと丁寧に折りたたんでいくことが大切です。

最後に折り込み口を上から下へかぶせる際も、力任せにせず、優しく包み込むように折り込みます。 まるで故人を優しく包み込むかのように、心を込めて行いましょう。 この動作一つ一つに、故人への感謝と弔意が込められているのです。

不祝儀袋の閉じ方は、単なる手順ではありません。故人への敬意と、遺族への配慮を込めた、重要な弔いの作法です。 上記の手順を丁寧に実行し、その動作に込められた深い意味を理解することで、真心のこもった弔意を伝えることができるでしょう。 形式的な手順に留まらず、故人との別れを悼む気持ち、遺族への深い同情を胸に、一つ一つの動作に心を込めて行うことが、最も大切なことなのです。 改めて、不祝儀の際の作法を見つめ直し、真摯な弔意を捧げる機会として捉えてみてください。