病院側は患者を拒否できますか?

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医師法第19条により、原則として病院側は患者の診療を拒否できません。しかし、正当な理由がある場合は例外的に拒否が認められます。これは、医師が緊急性の高い患者に対応する必要がある場合や、専門外の疾患である場合などが該当します。拒否の可否は状況によって判断されます。

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病院は患者を拒否できるのか? – 知っておくべき例外と背景

「病院は誰でも受け入れるべき」というイメージがありますが、実際には、病院側が患者の診療を拒否できるケースが存在します。医師法第19条では、医師には診療義務があると定められていますが、この義務には例外があり、正当な理由があれば、診療を拒否することが認められています。

では、一体どのような状況が「正当な理由」として認められるのでしょうか?具体的に見ていきましょう。

1. 緊急性の高い患者への対応:

病院には、常に多くの患者が訪れます。その中には、命に関わる緊急性の高い患者も含まれています。もし、緊急性の高い患者の治療を優先するために、緊急性の低い患者の診療を一時的に見送る必要が生じた場合、これは正当な理由として認められます。例えば、交通事故で重傷を負った患者が運び込まれた場合、風邪で来院した患者の診療を後回しにすることは、許容されるでしょう。

2. 専門外の疾患:

医師には専門分野があります。もし、患者が専門外の疾患で来院した場合、適切な医療を提供できない可能性があります。このような場合、他の専門医を紹介するなど、患者にとって最善の選択肢を提示することが求められますが、自院での診療を拒否することも正当な理由として認められます。例えば、内科医が眼科疾患の患者を診ることは困難であり、眼科医を紹介することが適切な対応となります。

3. 医療費の未払い:

長期間にわたり医療費の未払いがある場合、病院側は診療を拒否できる可能性があります。しかし、これは極めて慎重に判断されるべき事柄であり、単に支払いが遅れているという理由だけで拒否することはできません。未払いの理由、患者の経済状況などを考慮し、十分な話し合いを行った上で、最終的な判断が下されます。

4. 著しい迷惑行為:

暴力行為、暴言、セクハラなど、他の患者や医療従事者に著しい迷惑をかける行為があった場合、病院は診療を拒否することができます。これは、医療機関の安全な環境を維持し、他の患者の権利を守るために必要な措置です。

5. 診療に必要な協力が得られない場合:

問診への協力拒否、指示された検査の拒否など、患者が診療に必要な協力をしてくれない場合、適切な医療を提供することができません。このような場合、病院側は診療を拒否することができます。

注意点:

  • 病院が診療を拒否する際には、その理由を患者に明確に説明する義務があります。
  • 診療拒否は、あくまで最終的な手段であり、可能な限り患者を受け入れる努力が求められます。
  • 緊急を要する患者に対しては、どのような理由があっても診療を拒否することはできません。

まとめ:

病院が患者を拒否できるのは、あくまで例外的なケースに限られます。緊急性、専門性、医療費の未払い、迷惑行為など、様々な要素を考慮した上で、総合的に判断されます。もし、病院から診療を拒否された場合は、理由の説明を求め、必要であれば、他の医療機関への紹介を依頼することが重要です。

この情報が、皆さんの医療機関への理解を深める一助となれば幸いです。