119番はどういう時にかけますか？

119番通報。それは、生死を分ける一瞬の判断を迫られる、重圧に満ちた行為です。多くの場合、混乱や恐怖、そして時間との戦いの中で行われます。だからこそ、119番を正しく理解し、適切な状況で適切に利用することが、私たち一人ひとりの責任と言えるでしょう。単なる電話番号ではなく、人命救助の要となるこの番号の活用法について、深く考えてみましょう。

多くの人が「救急車が必要な時」と認識していますが、実際には「火災、救急、救助が必要な緊急事態」に限定されます。 これは単なる言葉の綾ではなく、貴重な社会資源である救急隊の活動範囲を明確に示す、極めて重要な定義です。 例えば、軽い切り傷や擦り傷、二日酔い、風邪の症状など、緊急性のない症状や怪我の場合、119番への通報は控えるべきです。これらの症状は、医療機関を受診したり、かかりつけの医師に相談したりすることで適切に対処できます。 119番に連絡することで、本当に緊急を要する患者の対応が遅れる可能性があり、最悪の場合、人命に関わる事態にもなりかねません。

では、具体的にどのような状況で119番に電話すべきなのでしょうか？ いくつかのケースを挙げてみましょう。

• 火災発生時: 建物火災、森林火災、車両火災など、火災が発生し、人命の危険が差し迫っている場合、すぐに119番に通報する必要があります。火災の規模、発生場所、煙の量などを正確に伝えましょう。消火器などで消火を試みることも重要ですが、自身の身の安全を最優先し、危険を感じたらすぐに避難してください。

• 救急を要する負傷時: 意識不明、呼吸困難、激しい出血、大怪我など、命に関わる可能性のある重症の場合には、躊躇なく119番に通報してください。 交通事故、転落事故、刺傷、銃撃など、外傷による重症の場合も該当します。 また、心臓発作や脳卒中などの疑いがある場合も緊急性を伴います。

• 溺水時: 海や川、プールなどで溺れている人を見かけた場合、すぐに119番に通報し、可能な範囲で救助活動を行いましょう。 ただし、自身も危険に晒される可能性がある場合は、無理に救助を試みるべきではありません。

• 地震・台風などの災害時: 大規模な地震や台風などにより、建物が倒壊したり、インフラが寸断されたりした場合、負傷者や閉じ込められた人がいる可能性があります。 そのような場合は、119番に通報し、状況を詳しく説明しましょう。

• その他緊急を要する状況: 上記以外にも、緊急性を要する状況は多岐に渡ります。例えば、ガス漏れによる危険性、蜂の集団攻撃、高所からの転落など、一刻を争う状況であれば、119番に通報することが重要です。

119番は、救急隊員が迅速かつ的確に対応するための重要な情報源です。 通報時には、以下の点を意識しましょう。

• 落ち着いて、正確に状況説明をする: 慌てず、簡潔に、そして正確に状況を説明しましょう。場所、状況、負傷者の数などを伝え、質問にははっきり答えることが重要です。
• 通報者の氏名と電話番号を伝える: 救急隊員からの連絡に備え、通報者の氏名と電話番号を必ず伝えましょう。
• 電話を切らない: 救急隊員から指示があるまで、電話を切らないようにしましょう。

119番は、私たちを災害や事故から守るための大切な社会資源です。 その価値を理解し、適切な利用を心がけることで、より安全で安心な社会を築き上げていくことができるでしょう。 緊急時以外での利用は控え、真に必要としている人のために、この貴重なラインを繋ぎましょう。