「お忙しいところ」は忌み言葉ですか？

「お忙しいところ」は失礼？ 状況に合わせた言葉選びで円滑なコミュニケーションを

ビジネスシーンや日常会話で頻繁に耳にする「お忙しいところ」。便利な表現ですが、実は使い方によっては相手に不快な思いをさせてしまう可能性も秘めています。

「お忙しいところ恐縮ですが…」
「お忙しい中、お時間いただきありがとうございます」

一見、丁寧で相手への配慮が感じられるこれらの言葉。しかし、近年では「お忙しいところ」という言葉は、避けた方が良いという意見も増えています。

その理由の一つに挙げられるのが、「忙」という漢字が「亡」を連想させるため、縁起が悪いと捉えられる可能性があるということです。特に、お祝い事や感謝を伝える場面では、より慎重な言葉選びが求められます。

また、「お忙しいところ」という言葉自体が、相手の状況を十分に考慮していない、形式的な印象を与えてしまう可能性もあります。本当に相手が忙しい状況であれば、「わざわざ時間を割いてもらっている」という意識をより強く持つべきです。

では、どのように言い換えれば、より丁寧で相手への配慮が伝わるのでしょうか。 具体的な状況を踏まえて、いくつかの例を見ていきましょう。

1. 会話の切り出しに使う場合

• 「お忙しいところ恐縮ですが…」
  • 「本日はお時間いただきありがとうございます」
  • 「突然のご連絡で申し訳ございません」
  • 「少しお時間を頂戴できますでしょうか」

2. 時間を取ってもらったことへの感謝を表す場合

• 「お忙しい中、お時間いただきありがとうございます」
  • 「貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます」
  • 「お時間を割いていただき、感謝申し上げます」
  • 「ご多忙の中、お越しいただきありがとうございます」

3. 書面（メールなど）で使う場合

• 「お忙しいところ恐れ入りますが…」
  • 「ご多用のところ大変恐縮ですが…」
  • 「何かとご繁忙のことと存じますが…」
  • 「時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」

これらの例文はあくまで一例です。 重要なのは、相手の状況や立場、そして伝えたい内容に合わせて、より自然で心のこもった言葉を選ぶことです。

「お忙しいところ」という言葉を使うこと自体が悪いわけではありません。 しかし、相手への配慮を欠いた表現にならないよう、状況に応じて適切な言い換えを検討することで、より円滑なコミュニケーションを実現できるでしょう。