「きっしょ」とは関西弁で何ですか?

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関西弁の「きっしょ」は、「大事な機会や節目」を意味します。京都や大阪で用いられ、「吉書」が転じて使われるようになった言葉です。

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関西弁「きっしょ」の意外な真実:吉兆を呼ぶ縁起の良い言葉?

「きっしょ」。この言葉、関西圏以外の人にとっては、もしかしたら聞き慣れない、あるいは、全く別の意味で捉えてしまうかもしれません。若者言葉で「気持ち悪い」といった否定的な意味で使われる「キショい」と混同しがちですが、関西弁における「きっしょ」は、全く異なる、むしろポジティブで縁起の良い意味を持つ言葉なのです。

一般的に、関西弁は独特のイントネーションや語彙を持ち、地域や年齢層によって微妙なニュアンスの違いも見られます。「きっしょ」も例外ではなく、その意味を正確に理解するには、歴史的背景や使用される文脈を考慮する必要があります。

結論から言うと、関西弁の「きっしょ」は「大事な機会や節目」「縁起の良い出来事」「吉兆」といった意味合いで用いられます。特に、結婚式や入学式、卒業式といった人生の節目のイベントや、商談などの重要な局面において使われることが多いです。 「きっしょい日やな」「今日はきっしょい日やから気張っていこか」といった具合です。

この言葉の語源は、「吉書(きちしょ)」に由来するとされています。古くから、重要な出来事や契約、儀式などは書面に残すことが一般的でした。その書面が「吉書」、つまり良い知らせを伝える書面であれば、それは喜びや幸運の象徴となります。この「吉書」が、時間の経過とともに変化し、「きっしょ」という簡略化された形になったと推測されています。

京都や大阪といった地域では、古くからこの言葉が使われており、特に高齢層の方々を中心に、今でも日常会話の中に自然と溶け込んでいます。若い世代は「キショい」との混同からか、この言葉を知らない、もしくは誤解しているケースも少なくありません。そのため、関西圏内でも、世代間でのコミュニケーションギャップを生む可能性も秘めていると言えるでしょう。

しかし、単に「吉兆」というだけでなく、「きっしょ」には、その言葉から感じられる、独特の温かさや、大切な出来事への期待感、そして少しの緊張感といった感情も含まれているように感じます。単なる「良いこと」ではなく、「人生における重要な出来事」に対する特別な意識が込められていると言えるでしょう。

例えば、「卒業式はきっしょい日やね」という言葉には、単に卒業式が良い日であるというだけでなく、学生生活の集大成であり、新たな人生への一歩を踏み出す大切な日であるという、感慨深いニュアンスが込められています。 「商談はきっしょいから、しっかり準備せなあかん」という表現には、商談の重要性と成功への強い意志が感じられます。

このように、「きっしょ」という言葉は、単なる語彙を超えて、関西の文化や歴史、人々の考え方までを垣間見ることができる、非常に興味深い言葉と言えるでしょう。 現代の若者言葉の氾濫する中で、このような歴史的背景を持つ言葉が、これからも大切に受け継がれていくことを願わずにはいられません。 「きっしょ」という言葉を耳にした際は、その奥深い意味を理解し、関西文化の一端に触れる機会として捉えてみてはいかがでしょうか。