サイドブレーキとPはどっちが先ですか？

坂道駐車の安全神話：サイドブレーキとP、本当にどちらが先？

坂道での駐車、あなたはいつもどちらを先に操作しているだろうか？ 教習所で習った「サイドブレーキ（パーキングブレーキ）→Pレンジ」の順番を忠実に守っている人もいれば、「Pレンジ→サイドブレーキ」という人もいるかもしれない。巷では「ギアへの負担を減らすため」という理由で前者が推奨されることが多いが、本当にそれが正解なのだろうか？

一概に「どちらが先」と断言することはできない。なぜなら、車種、路面の状況、坂道の角度など、様々な要素が影響するためだ。しかし、それぞれの操作が車両に及ぼす影響を理解することで、より状況に合わせた適切な判断ができるようになる。

サイドブレーキの役割：物理的な制動力を確保する

サイドブレーキは、ワイヤーや電気モーターを介して、車輪に直接制動力をかける機構だ。これにより、エンジンやトランスミッションに頼らず、車両を物理的に固定することができる。特に、坂道のような力が加わる場所では、この物理的な固定が非常に重要になる。サイドブレーキをしっかりと引くことで、車両が動き出すリスクを大幅に減らすことができる。

Pレンジの役割：機械的なロック機構で固定する

Pレンジ（パーキング）は、トランスミッション内部のギアをロックすることで、駆動輪の回転を制限する。しかし、このロック機構はあくまで補助的なものであり、坂道のような大きな力が加わる状況では、ロック機構自体に過度な負担がかかる可能性がある。

「サイドブレーキ→Pレンジ」のメリットとデメリット

この順番のメリットは、先にサイドブレーキで車両を固定することで、Pレンジのロック機構への負担を軽減できる点にある。特に急な坂道では、Pレンジのみで車両を固定しようとすると、ロック機構に大きな力がかかり、故障の原因となる可能性もある。

一方、デメリットとしては、サイドブレーキの引きが甘い場合や、経年劣化により制動力が低下している場合、Pレンジに大きな負担がかかってしまうという点だ。また、サイドブレーキのワイヤーが凍結する可能性もある。

「Pレンジ→サイドブレーキ」のメリットとデメリット

この順番のメリットは、Pレンジで一度車両を固定し、その後にサイドブレーキをかけることで、Pレンジに過度な負担がかかるのを避けられるという考え方もある。しかし、この方法は、サイドブレーキの制動力が十分でない場合、Pレンジに負担がかかってしまうというリスクも孕んでいる。

結局、どちらが先？状況に応じた判断が重要

結論として、どちらが完全に正しいとは言い切れない。最も重要なのは、状況を理解し、適切な判断を下すことだ。

• 急な坂道の場合: サイドブレーキをしっかりとかけてから、Pレンジに入れることで、Pレンジへの負担を軽減するのが賢明だ。
• 平坦な場所の場合: Pレンジに入れてから、サイドブレーキを軽くかける程度でも十分な場合もある。
• サイドブレーキの利きが悪い場合: Pレンジに頼りすぎず、輪止めなどの補助的な手段を検討する。

また、日頃からサイドブレーキの点検を行い、制動力を維持することも重要だ。

大切なのは、それぞれの機構の役割を理解し、状況に応じて使い分けること。そして、何よりも安全を最優先に考えた行動を心がけることだ。坂道駐車は、一見単純に見えても、実は奥が深い。安全意識を高く持ち、確実な操作を心がけよう。