サウナで血管がボロボロになるのはなぜ？

サウナで血管が「ボロボロ」になる、という表現は医学的に正確ではありませんが、サウナ利用における血管への負担が、健康リスクを高める可能性があることは事実です。 高温環境下でのサウナ利用は、一見リラックス効果をもたらしますが、身体には多大なストレスがかかります。 そのストレスが、血管に様々な影響を及ぼすメカニズムを詳しく見ていきましょう。

まず、サウナにおける高温環境は、体表の血管を拡張させます。これは、熱を効率的に放散し、体温の上昇を防ぐための身体の自然な反応です。 しかし、この血管拡張は、心臓への負担を増大させます。拡張した血管にはより多くの血液を送り込む必要があり、心臓は通常よりも強く拍動しなければなりません。高血圧や心臓疾患を持つ人にとって、この心臓への負荷は危険なレベルに達する可能性があります。

さらに、サウナでの大量の発汗は、体内の水分と電解質（ナトリウム、カリウムなど）の喪失を引き起こします。脱水状態になると、血液の粘度が高まり、血液がドロドロの状態になります。これは、血液の循環を阻害し、血栓ができやすくなることを意味します。血栓は血管を詰まらせ、血流を遮断します。 脳血管に血栓が形成されると脳梗塞、心臓の血管に形成されると心筋梗塞を引き起こし、最悪の場合、生命に関わる事態となります。 この「血液ドロドロ」状態は、血管に直接的な損傷を与えるわけではありませんが、深刻な血管障害のリスクを劇的に増加させるのです。

また、サウナによる急激な体温変化も血管へのストレスとなります。サウナ室から急激に冷たい水風呂や外気へ移動すると、血管が急激に収縮・拡張を繰り返します。この繰り返しによる血管の負担は、血管壁へのダメージを蓄積させる可能性があります。特に、すでに動脈硬化などの血管疾患を抱えている人にとっては、この急激な温度変化は大きなリスクとなります。 血管壁が脆弱になっている状態では、わずかな負担でも破裂や出血を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

これらのリスクを軽減するために、サウナ利用時には以下の点に注意することが重要です。

• 適切な水分補給: サウナに入る前、入っている間、そして出た後にも、十分な水分を摂取しましょう。水だけでなく、電解質を含むスポーツドリンクなども効果的です。
• 無理のない時間: 最初は短時間から始め、徐々に時間を延ばしていくようにしましょう。自分の身体の状態をよく理解し、無理をしないことが大切です。
• 体調が悪い時の利用は控える: 風邪を引いている時や体調が優れない時は、サウナに入るのを避けましょう。
• 持病がある場合は医師に相談: 高血圧、心臓疾患、脳血管疾患など、持病がある場合は、サウナ利用について医師に相談することが重要です。
• サウナ室と休憩室の温度差に注意: 急激な温度変化は血管への負担を増大させます。サウナ室と休憩室、そして水風呂との間をゆっくりと移動し、身体を落ち着かせてから移動しましょう。

サウナは健康増進に役立つ可能性も秘めていますが、適切な知識と注意を怠ると健康を損なうリスクも伴います。 「血管がボロボロになる」という表現は誇張されているかもしれませんが、サウナ利用における血管への負担を軽視することは危険です。 安全で効果的なサウナ利用のためには、自己管理と医師への相談を積極的に行いましょう。