帯状疱疹の痛みがなかなか引かないのはなぜですか?

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帯状疱疹の痛みは、ウイルスが神経に損傷を与えるため、治癒後も続くことがあります。この持続的な痛みは「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれ、神経の炎症や機能障害が原因です。神経の修復には時間がかかり、痛み止めや神経ブロックなど、様々な治療が必要となる場合もあります。 早期治療が症状の軽減に繋がります。

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帯状疱疹後神経痛:なぜ帯状疱疹の痛みはなかなか引かないのか?

帯状疱疹は、子供の頃にかかった水疱瘡のウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が、免疫力が低下した際に再び活性化することで発症します。発疹と共に現れる激しい痛みが特徴ですが、多くの場合、発疹が治まれば痛みも徐々に和らいでいきます。しかし、残念ながら、帯状疱疹の治療後も痛みが長期間にわたり持続してしまうことがあります。この慢性的な痛みが、帯状疱疹後神経痛(PHN: Postherpetic Neuralgia)と呼ばれるものです。

なぜ帯状疱疹後神経痛はなかなか引かないのでしょうか?その主な原因は、ウイルスによる神経への深刻なダメージです。帯状疱疹ウイルスは、神経節に潜伏していたものが活性化し、神経を伝って皮膚に移動して発疹を引き起こします。この過程で、ウイルスは神経そのものに炎症を起こし、損傷を与えてしまうのです。

この神経の損傷が、帯状疱疹後神経痛の根本的な原因となります。具体的には、以下のようなメカニズムが関与していると考えられています。

  • 神経の変性・破壊: ウイルス感染によって神経細胞が直接的に破壊されたり、神経線維の構造が変性したりします。これにより、本来正常に機能していた神経が、痛みを伝える回路として過剰に興奮しやすくなってしまうのです。
  • 神経の炎症の慢性化: ウイルス感染による炎症が治まらず、慢性化してしまうことがあります。炎症が続くと、神経が過敏になり、わずかな刺激でも痛みを感じやすくなります。
  • 中枢神経系の変化: 帯状疱疹の痛みが長引くと、脊髄や脳といった中枢神経系にも変化が生じることがあります。痛みを感じる回路が過敏になったり、痛みを抑制する機能が低下したりすることで、痛みが慢性化する可能性があります。
  • 免疫系の関与: 帯状疱疹後神経痛の発症には、免疫系の異常な反応も関与していると考えられています。ウイルス感染に対する免疫反応が過剰になり、神経への攻撃が続いてしまうことがあります。

帯状疱疹後神経痛の痛みは、個人差が大きく、様々な表現で語られます。焼け付くような痛み、電気が走るような痛み、刺すような痛み、ズキズキとした痛みなど、人によって痛みの質も程度も異なります。また、衣服が触れただけでも痛みを感じたり、わずかな温度変化で痛みが悪化したりすることもあります。

帯状疱疹後神経痛は、日常生活に大きな支障をきたし、睡眠障害、抑うつ、社会生活からの孤立などを引き起こすこともあります。そのため、早期発見と適切な治療が非常に重要となります。帯状疱疹を発症した際には、早期に医療機関を受診し、適切な抗ウイルス薬の投与を受けることが、帯状疱疹後神経痛の発症リスクを軽減する上で最も重要です。

もし帯状疱疹後神経痛を発症してしまった場合は、痛み止め、抗うつ薬、抗てんかん薬、神経ブロックなど、様々な治療法を組み合わせることで、痛みをコントロールしていく必要があります。諦めずに専門医に相談し、自分に合った治療法を見つけることが大切です。また、リハビリテーションや心理療法なども、痛みの緩和や生活の質の向上に役立つことがあります。