警察を呼ばずに示談をしたらどうなる？

警察を呼ばずに示談したらどうなる？ 後悔しないための事故対応

交通事故は、いつどこで誰に降りかかるか分かりません。軽い接触事故の場合、当事者間で示談を済ませて警察を呼ばないケースも少なくありません。しかし、その手軽さゆえに、後々大きなトラブルに発展する可能性も潜んでいます。今回は、警察を呼ばずに示談した場合のリスクと、適切な事故対応について詳しく解説します。

まず、警察を呼ばずに示談した場合の最も大きなリスクは、後遺症や後遺障害が発生した場合の対応が非常に難しくなることです。事故直後は軽い痛みや違和感程度だったとしても、数日後、数週間後、あるいは数ヶ月後に深刻な症状が現れるケースは決して珍しくありません。むち打ち症などはその典型的な例と言えるでしょう。

警察に届け出をし、適切な診断書があれば、損害賠償請求の際に証拠として認められます。しかし、警察を呼ばずに示談した場合、事故発生時の状況や損害の程度を客観的に証明することが困難になります。示談書に記載されている内容が全てとなり、それ以上の賠償を求めるのは容易ではありません。特に、示談時に後遺症の可能性について言及していない場合、追加の賠償請求はほぼ不可能と言えるでしょう。

示談とは、法的拘束力のある契約です。一度成立した示談を覆すことは極めて難しく、たとえ後から重篤な後遺障害が判明したとしても、示談内容の変更や追加の賠償を求めることは困難を極めます。示談成立後に相手方が連絡を絶ってしまうケースも考えられ、泣き寝入りを強いられる可能性も出てきます。

また、事故の相手が示談に応じないまま逃げてしまう「ひき逃げ」の場合、警察への届け出が不可欠です。警察を呼ばなかった場合、加害者を特定することさえ難しくなり、損害賠償はもちろん、刑事責任を追及することも困難になります。

では、どのような事故対応が望ましいのでしょうか？ どんなに軽微な事故に見えても、必ず警察に連絡し、事故の記録を残すことが重要です。また、必ず病院で診察を受け、診断書を取得しましょう。たとえ自覚症状がなくても、後日症状が現れる可能性を考慮し、念のため医師の診察を受けることが大切です。

示談交渉は、焦らず慎重に進める必要があります。相手方の提示する金額に安易に同意せず、保険会社や弁護士などの専門家に相談することも検討しましょう。示談書の内容は、将来の生活に大きな影響を与える可能性があります。専門家のアドバイスを受けることで、不利な条件での示談を避けることができます。

特に、示談書には、示談金の金額だけでなく、示談内容の詳細、今後の治療費や慰謝料の支払い方法、後遺障害が発生した場合の対応など、具体的な項目を明確に記載することが重要です。曖昧な表現は避け、将来のトラブルを未然に防ぐように努めましょう。

まとめると、警察を呼ばずに示談することは、後々のトラブルを招く大きなリスクを伴います。どんなに軽微な事故であっても、必ず警察に連絡し、医療機関を受診し、専門家のアドバイスを得ることが、自身を守る上で非常に重要です。安易な示談は避け、将来を見据えた慎重な対応を心がけましょう。