高度肥満 何キロ？

高度肥満：命を脅かす深刻な状態とその克服

高度肥満とは単なる「太っている」という状態を超え、健康に深刻な脅威をもたらす深刻な疾患です。 BMI（ボディマス指数）の数値だけで判断できるものではなく、内臓脂肪の蓄積量や、既に発症している、あるいは発症が予測される健康問題も考慮された上で診断されます。 では、具体的にどれくらいの体重が高度肥満に該当するのでしょうか？ 単純に数値で答えを出すことはできません。なぜなら、BMIは身長と体重の比率で算出される指標であり、同じBMI値であっても、身長150cmの人と180cmの人では、体重に大きな差があるからです。

BMI 35kg/m²以上が高度肥満の目安とされていますが、これはあくまで一つの指標に過ぎません。 例えば、BMI 35kg/m²でも、筋肉量が多く脂肪が少ないアスリートであれば、必ずしも高度肥満とは診断されません。 逆に、BMIが35kg/m²に満たなくても、内臓脂肪が過剰に蓄積されている場合、高度肥満と診断される可能性があります。 内臓脂肪は、肝臓や膵臓といった重要な臓器の周囲に蓄積し、糖尿病、脂質異常症、高血圧、心血管疾患などの生活習慣病のリスクを著しく高めます。 そのため、高度肥満の診断においては、BMIに加え、腹部CT検査などで測定される内臓脂肪の量、ウエスト周囲径、血圧、血糖値、脂質値などの検査結果が総合的に判断材料となります。

具体的な体重を例示することは困難ですが、仮に身長160cmの人を例にとると、BMIが35kg/m²を超えるには、体重が約89.6kg以上になります。しかし、これはあくまで目安であり、同じ体重でも、筋肉量や体脂肪率、内臓脂肪量によって、健康へのリスクは大きく変動します。 重要なのは、体重の数値ではなく、健康状態です。 息切れがしやすい、階段の上り下りで息が上がる、関節痛がある、眠りが浅い、疲れやすいなど、日常生活に支障をきたす症状が出ている場合は、たとえBMIが35kg/m²に満たなくても、医療機関への受診が強く推奨されます。

高度肥満は、単なる見た目の問題ではありません。 様々な合併症を引き起こし、寿命を縮める可能性もある、深刻な疾患です。 糖尿病による網膜症や腎症、高血圧による脳卒中や心筋梗塞、睡眠時無呼吸症候群など、命に関わるリスクも高く、放置すれば生活の質（QOL）を著しく低下させます。 そのため、早期発見と適切な治療が非常に重要です。

治療は、食事療法、運動療法、薬物療法などが組み合わされて行われます。 専門医による指導の下、自分に合った方法を見つけることが大切です。 減量目標は、体重を一気に落とすのではなく、無理のない範囲で徐々に減らすことが重要です。 急激な減量は、体に大きな負担をかけ、リバウンドを招きやすいからです。 また、専門家のサポートを受けながら、長期的な視点で健康的な生活習慣を身につけることが、高度肥満克服への鍵となります。 自分自身の健康を守るため、そしてより豊かな人生を送るために、高度肥満の深刻さを理解し、適切な対策を講じる必要があります。 健康に関する不安を感じた際は、迷わず医療機関に相談しましょう。