なぜ産院では沐浴しないのでしょうか？

なぜ産院では沐浴しないの？知っておきたい沐浴事情と新生児ケアの変化

昔は産まれたばかりの赤ちゃんを沐浴させるのが当たり前でしたが、最近は産院で沐浴をしない、または退院まで行わないというケースが増えています。これは一体なぜなのでしょうか？背景にある理由と、沐浴に代わるケア方法について詳しく解説します。

沐浴を控える理由：新生児の繊細な身体を守るために

産まれたばかりの赤ちゃんは、私たちが思っている以上にデリケートです。特に、体温調節機能は未熟で、急激な温度変化に対応することができません。沐浴は、赤ちゃんにとって以下のようなリスクを伴う可能性があります。

• 体温低下のリスク: 沐浴によって体温が急激に低下すると、赤ちゃんは体温を維持するためにエネルギーを消費します。これは、呼吸困難や低血糖を引き起こす可能性があり、未熟児や低出生体重児にとっては特に危険です。
• 皮膚バリア機能の保護: 赤ちゃんの皮膚は非常に薄く、刺激に弱い状態です。沐浴によって皮膚に必要な皮脂まで洗い流してしまうと、皮膚のバリア機能が低下し、乾燥や湿疹の原因になることがあります。
• 常在菌のバランスの維持: 皮膚には、外部からの刺激や感染から守るための常在菌が存在します。過度な洗浄は、この常在菌のバランスを崩し、感染症のリスクを高める可能性があります。

これらのリスクを考慮し、近年ではWHO（世界保健機関）も、生後24時間以内の沐浴は推奨していません。産院では、新生児の体温維持と皮膚バリア機能の保護を最優先に考え、沐浴を控える傾向にあります。

沐浴に代わるケア：清潔を保ちながら優しく

沐浴を行わない代わりに、産院では以下の方法で赤ちゃんの清潔を保ちます。

• 清拭: 温かいお湯で湿らせたガーゼなどで、優しく体を拭きます。特に、首、脇の下、股など、汚れやすい部分を丁寧に拭きましょう。
• 部分浴: おしりや陰部など、特に汚れている部分だけを洗い流します。
• オイルケア: 皮膚の乾燥を防ぐために、ベビーオイルや保湿クリームを塗ります。

これらのケアは、沐浴よりも赤ちゃんへの負担が少なく、皮膚のバリア機能を守りながら清潔を保つことができます。

退院後の沐浴：焦らず、赤ちゃんのペースで

退院後、自宅で沐浴を始めるタイミングは、赤ちゃんの状態や季節、地域によって異なります。産院で指導された方法を参考に、赤ちゃんの様子を見ながら、焦らずに始めましょう。もし不安な場合は、助産師や保健師に相談することをおすすめします。

沐浴は、親子の触れ合いを深める大切な時間でもあります。赤ちゃんの気持ち良い温度や、リラックスできる方法を見つけて、楽しい沐浴タイムを過ごしてください。

沐浴に関する知識は、常にアップデートされています。

今回ご紹介した情報は一般的なものであり、産院によって対応が異なる場合があります。疑問や不安な点があれば、遠慮なく医療スタッフに質問し、最新の情報を確認するようにしましょう。