帝王切開の赤ちゃんはなぜ呼吸困難になるのですか？

帝王切開児の呼吸困難

帝王切開で生まれた赤ちゃんは、自然分娩で生まれた赤ちゃんに比べて、呼吸困難を発症するリスクが高いことが知られています。その理由は、帝王切開の際に、赤ちゃんが膣を通過しないため、肺から水が適切に排出されないからです。

肺液貯留

帝王切開では、赤ちゃんの肺には大量の肺液が残留します。この液体が呼吸を妨げる大きな原因となります。自然分娩では、赤ちゃんが膣を通過する際に、産道が肺を圧迫し、肺液を排出します。しかし、帝王切開では、このプロセスが起こらないため、肺液が肺に貯留します。

肺サーファクタントの低下

肺サーファクタントとは、肺胞の表面に存在する物質で、肺胞が膨らむのを助けます。帝王切開の場合、赤ちゃんが膣を通過しないため、肺サーファクタントの産生が低下します。その結果、肺が十分に膨張せず、呼吸困難につながります。

呼吸筋の弱さ

膣分娩では、産道を通過する際に、赤ちゃんの呼吸筋が強化されます。しかし、帝王切開では、このプロセスが起こらないため、呼吸筋が弱くなります。弱くなった呼吸筋は、肺を十分に膨らませることができず、呼吸困難を引き起こします。

その他の要因

帝王切開児の呼吸困難を引き起こす他の要因にも、次のようなものがあります。

• 早産であること
• 低体重であること
• 母親が高血圧症や妊娠糖尿病などの合併症を抱えていること
• 帝王切開が緊急に行われたこと

治療

帝王切開児の呼吸困難の治療は、症状の重症度に応じて異なります。軽度の場合は、酸素療法や持続陽圧呼吸療法（CPAP）で対処できます。しかし、重度の場合は、人工呼吸器の装着が必要になる場合があります。

予防

帝王切開児の呼吸困難を予防するには、以下のような対策が有効です。

• 帝王切開を可能な限り避ける
• 帝王切開が必要な場合は、計画帝王切開を選択する
• 赤ちゃんが早産や低体重になるリスクを減らす
• 母親の合併症を管理する

帝王切開児の呼吸困難は、出生後すぐに適切な処置が施されれば、多くは改善します。しかし、重症の場合には、合併症や長期的な影響が出る可能性があります。したがって、帝王切開児は十分なケアを受け、定期的なモニタリングを行うことが不可欠です。