偽札と知らずに使った場合どうなる？

偽札と知らずに使ってしまった…想像しただけで背筋が寒くなる事態です。悪意なく、単なる不注意で偽札を流通させてしまった場合、一体どうなるのでしょうか？ 多くの日本人は、偽札の使用は犯罪だと認識していますが、その詳細、特に「知らなかった」という免罪符が通用するのかどうかについては、曖昧な理解にとどまっているかもしれません。 本稿では、偽札を悪意なく使用した場合の法的責任、そしてそのリスク軽減策について、分かりやすく解説します。

まず断言しておきます。「知らなかった」は、必ずしも免責にはなりません。 日本の刑法では、結果責任という概念が重要です。 つまり、結果（偽札の使用による経済的被害の発生）が重要であり、加害者の主観的な悪意の有無は、必ずしも刑罰の軽重を決定する唯一の要素ではないのです。 偽札と知らずに使った場合でも、結果的に偽造通貨の流通に協力したとみなされれば、処罰の対象となる可能性があります。

具体的にどのような罪に問われる可能性があるのでしょうか？ 最も可能性が高いのは、通貨偽造・変造罪です。これは、刑法第148条に規定されており、10年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。 ただし、判決は、偽札の使用に至った経緯、使用額、本人の態度、反省の度合いなど、様々な要素を総合的に判断して決定されます。 例えば、ごく少額の偽札を、疑いを持たずに何気なく使用したケースと、高額の偽札を複数回に渡り使用したケースでは、当然ながら判決も大きく異なるでしょう。

さらに、悪質性によっては、共犯として処罰される可能性も否定できません。 例えば、偽札を故意に流通させている組織から偽札を受け取った場合、たとえ「偽札だと知らなかった」としても、その組織の犯罪行為に加担したとみなされる可能性があり、より重い罪に問われる可能性が高まります。

では、どうすればこのような事態を防げるのでしょうか？ 最も重要なのは、紙幣の真偽を判別する能力を高めることです。 怪しいと感じた紙幣は、決して使用せず、最寄りの警察署や銀行に相談しましょう。 日本の紙幣には、様々な偽造防止対策が施されており、それらを理解することで、偽札を見抜く確率を高めることが出来ます。 例えば、透かし、ホログラム、触感、印刷の精細さなど、普段から注意深く観察する習慣を身につけることが重要です。

また、普段から現金の管理を徹底し、不審な人物や場所との接触を避けることも重要です。 高額紙幣を扱う際は、特に注意深く確認しましょう。

最後に、強調しておきたいのは、偽札の発見は犯罪への通報義務が法律上はないものの、社会全体の安全を守るためにも、疑わしい紙幣を発見した際は速やかに警察に通報することが非常に重要であるということです。 自分自身を守るためにも、そして社会全体の安全を守るためにも、偽札に関する知識を深め、適切な行動をとることが求められます。 「知らなかった」では済まされない事態に陥らないよう、常に警戒心を持ち、安全な社会生活を送るようにしましょう。