特定技能2号の全国人数は?

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令和6年6月末時点で、特定技能2号の在留外国人数は153人となっています。

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特定技能2号:全国153人の現状と、その背景にある課題

令和6年6月末時点で、特定技能2号の在留外国人数が153人という事実は、その制度の現状と、制度が抱える課題を浮き彫りにしています。特定技能2号は、熟練した技能を持つ外国人労働者を受け入れ、より高度な業務に従事させることを目的とした制度ですが、その利用状況は想定よりも遥かに低いと言えるでしょう。

この数字だけを見れば、特定技能2号制度が機能不全に陥っているとすら言えるかもしれません。しかし、制度の普及が進まない背景には、いくつかの複合的な要因が考えられます。

1. 対象職種の限定性と取得の難易度:

特定技能2号の対象職種は、現時点では建設と造船・舶用工業に限られています。そのため、多くの企業や外国人労働者は、他の分野での就労機会を求めて、より取得しやすい特定技能1号や、他の在留資格を選択する傾向にあります。

さらに、特定技能2号を取得するためには、高度な技能を証明するだけでなく、長年の実務経験も必要となります。これは、外国人労働者にとって大きなハードルとなり、制度利用を躊躇させる要因の一つとなっています。

2. 企業のニーズと制度のギャップ:

企業側の視点から見ると、特定技能2号を受け入れるためには、十分な受け入れ体制を整え、高度な技能に見合った待遇を提供する必要があります。中小企業など、経営基盤が脆弱な企業にとっては、この負担が大きく、制度利用に二の足を踏むケースも少なくありません。

また、特定技能2号の取得要件を満たす外国人労働者の数が限られているため、企業は人材確保に苦労する可能性があります。企業側は、本当に特定技能2号のスキルが必要なのか、他の在留資格で代替できないかを慎重に検討するでしょう。

3. 制度自体の認知度不足と情報不足:

特定技能2号制度は、比較的新しい制度であるため、企業や外国人労働者の間での認知度が十分ではありません。制度の内容、申請方法、必要な書類などに関する情報も不足しており、制度利用を阻害する要因となっています。

政府は、制度の認知度向上と情報提供の強化に努める必要があります。企業向けのセミナー開催や、外国人労働者向けの多言語対応窓口の設置など、より積極的な取り組みが求められます。

今後の展望:

特定技能2号制度が、日本の労働力不足を解消し、経済成長に貢献するためには、制度の改善と運用方法の見直しが不可欠です。

  • 対象職種の拡大: 将来的には、他の分野にも対象職種を拡大し、より多くの外国人労働者を受け入れることを検討すべきです。
  • 取得要件の緩和: 高度な技能を維持しつつ、より多くの外国人労働者が取得しやすいように、取得要件を一部緩和することも有効です。
  • 企業への支援強化: 特に中小企業に対して、受け入れ体制の整備や、外国人労働者の育成に関する支援を強化することで、制度利用を促進することができます。
  • 情報発信の強化: 多言語での情報提供を充実させ、企業や外国人労働者が必要な情報を容易に入手できるようにする必要があります。

特定技能2号制度は、まだ発展途上の段階であり、多くの課題を抱えています。しかし、適切な改善と運用を行うことで、日本の労働力不足を解消し、国際競争力を高めるための重要なツールとなる可能性を秘めています。今後の制度改正と運用状況に注目していく必要があります。