「存じます」はビジネスメールで使えますか?

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「存じます」はビジネスシーンで上司や取引先へのメールに適切な敬語です。「思います・知っています」の謙譲語で、丁寧でかしこまった印象を与えます。安心してメールや文書でご使用ください。

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「存じます」はビジネスシーン、特にメールにおいて使用できる敬語である、というのは概ね正しいですが、その使用には細心の注意が必要です。上記の記述は、やや単純化し過ぎていると言えるでしょう。 「存じます」が常に適切とは限らず、文脈や相手との関係性、そして全体のトーンを考慮しなければ、かえって失礼に当たる可能性も秘めているからです。

「存じます」は「思います」「知っています」の謙譲語であり、話し手の知識や推測を控えめに、丁寧に表現する際に用いられます。しかし、その控えめさが時に「不自然さ」や「遠回しすぎる」印象を与え、かえって相手に不快感を与えてしまうことがあります。特に、ビジネスシーンでは、明確で簡潔なコミュニケーションが求められるため、その点に配慮する必要があります。

例えば、「承知いたしました」という表現と比較してみましょう。「承知いたしました」は、相手からの指示や情報に対し、それを理解し受け入れたことを明確に示す、ビジネスシーンで非常に頻用される表現です。一方、「存じます」は、相手からの指示や情報に対する反応というよりは、自分の知識や認識について述べる際に使われます。

「来週の会議について存じます」と書くよりも、「来週の会議について承知いたしました」の方が、ビジネスメールとしてははるかに自然で、相手に確実な理解を示すことになります。前者は、会議の存在を知っているという事実を述べているだけで、会議への対応や準備について何も示唆していません。後者の方が、会議への参加や準備を意識していることが明確に伝わります。

さらに、「存じます」は、やや古風で硬い印象を与える言葉でもあります。若い世代や、比較的カジュアルなコミュニケーションを好む相手との間では、違和感を与えてしまう可能性があります。取引先との関係性や企業文化も考慮し、より現代的な表現を用いる方が適切なケースも多くあります。

では、「存じます」を効果的に使うにはどうすれば良いのでしょうか。それは、自分の推測や認識を述べる際に、かつ、その情報が相手にすでに知られていることを前提とした上で、さらに丁寧さを加えたい場合です。例えば、「貴社の業績につきましては、報道等を通じて存じ上げております。」のように、間接的な情報源に基づいた知識を伝える際に用いると、自然で丁寧な印象を与えられるでしょう。

しかし、このようなケースでも、「貴社の業績について承知しております。」や「貴社の業績に関する報道は拝見しております。」といった、より明確で現代的な表現の方が好ましい場合も多いでしょう。

結論として、「存じます」はビジネスメールで使用できる敬語ではありますが、その使用には慎重な判断が必要です。文脈、相手との関係性、全体的なトーンを考慮し、より簡潔で明確な表現が可能な場合は、そちらを選択する方が、ビジネスシーンでは効果的です。 「存じます」は、熟練のビジネスパーソンが、適切な状況下でこそ効果を発揮する、高度な敬語の一つと言えるでしょう。安易な使用は避けるべきです。