路面電車が廃れた理由は何ですか?

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1960~70年代、日本の主要都市は次々と路面電車を廃止した。その主な理由は、自動車の通行を妨げるという考え方だった。一方、欧州では路面電車は存続した。この違いは、都市計画や交通政策の相違によるものだ。
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路面電車の衰退:自動車優先の時代

1960年代から70年代にかけて、日本の主要都市では、かつて活気に満ちていた路面電車が次々と廃止されていきました。この衰退は、都市の交通システムに大きな変化をもたらしました。では、路面電車が姿を消した理由はどこに求められるのでしょうか?

自動車の台頭と路面電車の妨害

路面電車が衰退した最大の要因は、自動車の急速な普及です。1950年代以降、自動車の生産と所有が増加し、都市中心部は深刻な交通渋滞に見舞われるようになりました。路面電車は、道路を走るため、自動車の通行を妨げ、渋滞を悪化させると考えられました。

また、路面電車は速度が遅く、効率が悪いと見なされていました。自動車はより高速で、目的地に素早く到達できると考えられていたのです。そのため、都市計画者は、自動車の通行を優先し、路面電車を廃止する決定を下しました。

都市開発と再開発

自動車優先の考え方は、都市開発や再開発にも影響を与えました。多くの都市では、自動車のための道路や駐車場の建設が優先され、路面電車の軌道や施設は取り除かれました。路面電車の線路はしばしば、高速道路や高層ビルなどの大規模プロジェクトに取って代わられました。

欧州との違い

一方、ヨーロッパでは路面電車が存続しました。この違いは、都市計画や交通政策の違いに起因しています。ヨーロッパの都市は、歩行者や公共交通機関を優先したコンパクトな設計になっていました。路面電車は、人々を簡単に都市中心部まで運ぶ効率的な交通手段として見られていました。

また、ヨーロッパでは、環境保護と持続可能な交通手段への関心が高まっていました。路面電車は、自動車よりも環境にやさしく、都市部の交通渋滞を軽減する手段として認識されてきました。

現代における路面電車の復活

近年、都市部では路面電車の復活が見られます。環境保護や持続可能性への関心の高まり、交通渋滞に対する解決策の模索がその背景にあります。路面電車は、混雑した道路を避け、都市中心部へのアクセスを改善するための効率的な交通手段として再認識されています。

例えば、東京では2007年に都電荒川線が復活し、観光客や地元住民に人気を博しています。また、京都や広島でも路面電車の延伸や新設が進められています。

結論

路面電車の衰退は、自動車の台頭、交通渋滞に対する懸念、都市開発の優先順位の変化など、複雑な要因が絡み合って引き起こされました。しかし、環境保護や持続可能な交通手段に対する認識が高まるにつれて、路面電車は都市部における重要な交通手段として復活しつつあります。