アメリカの183日ルールの日数の数え方は？

アメリカの183日ルール：日数の数え方と注意点

アメリカに一定期間滞在する外国人は、税務上の居住者と非居住者のどちらに分類されるかで、税金の負担額が大きく変わります。その判断基準の一つとなるのが「183日ルール」です。このルールは一見シンプルに見えますが、日数の数え方や適用には注意すべき点がいくつかあります。この記事では、183日ルールの具体的な計算方法、注意点、そしてよくある誤解について詳しく解説します。

183日ルールとは、過去12ヶ月間のアメリカ滞在日数が183日以下であれば、その年度は非居住者として扱われ、特定の所得に対する米国の所得税が免除される可能性があるというルールです。ここで重要なのは、「連続する12ヶ月」ではなく、「任意の12ヶ月」という点です。つまり、カレンダーイヤー（1月1日〜12月31日）とは関係なく、過去に遡って12ヶ月間の滞在日数を計算する必要があります。

では、どのように日数を数えるのでしょうか？

• 入国日と出国日はどちらも滞在日数に含めます。 たとえ数時間だけの滞在であっても、1日としてカウントされます。
• 日数の計算は「実日数」で行います。 一部分でもアメリカに滞在した日は、1日としてカウントされます。
• 12ヶ月間の起算日は自由に設定できます。 例えば、今日が2024年7月1日だとすると、2023年7月1日から2024年6月30日までの12ヶ月間、あるいは2023年10月15日から2024年10月14日までの12ヶ月間など、任意の期間を選択して計算できます。
• 最も有利な12ヶ月間を選択できます。 183日を超えない期間があれば、その期間を基準として非居住者として扱われる可能性があります。そのため、複数の期間で計算し、最も有利な期間を選ぶことが重要です。

計算例

仮に、あなたが2023年1月15日から1月31日まで、そして2023年3月1日から3月15日まで、さらに2023年6月1日から現在（2024年7月1日）までアメリカに滞在していたとしましょう。

• 1月15日〜1月31日：17日
• 3月1日〜3月15日：15日
• 6月1日〜7月1日：31日 (2023年) + 30日 (2024年6月) + 1日 = 62日
• 合計：17日 + 15日 + 62日 = 94日

2023年7月1日から2024年6月30日までの12ヶ月間で計算すると、滞在日数は94日となり、183日以下です。したがって、この期間を基準とすれば、あなたは非居住者として扱われる可能性があります。

注意点

• 183日ルールは、居住者か非居住者かを判断する一つの要素に過ぎません。 滞在日数以外にも、グリーンカードの有無、実質的な生活拠点、家族の居住地など、様々な要素が考慮されます。
• 183日ルールは、全ての税金に適用されるわけではありません。 特定の所得に対する税金のみが免除される可能性があります。
• 滞在日数の計算は複雑になる場合があります。 特に、頻繁にアメリカを出入国する場合は、正確な計算が難しくなるため、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

よくある誤解

• カレンダーイヤーで計算する必要がある。 これは誤りです。任意の12ヶ月間で計算できます。
• 183日を超えなければ、常に非居住者として扱われる。 これも誤りです。滞在日数以外にも、他の要素が考慮されます。

183日ルールは、アメリカに滞在する外国人にとって重要な税務上のルールです。正しく理解し、適切に適用することで、不必要な税負担を避けることができます。不明な点があれば、税理士などの専門家に相談することを強くお勧めします。