アメリカ駐在員の配偶者は就労できますか？

アメリカ駐在員の配偶者、就労許可証なしで働ける！でも、本当にスムーズ？ 2022年以降の現状と注意点

2022年、アメリカ駐在員の配偶者にとって朗報が舞い込みました。L-2ビザ（L-1ビザ駐在員の配偶者）とE-1/E-2ビザ駐在員の配偶者は、就労許可証（EAD）なしで米国で働くことが可能になったのです。これまで、配偶者がアメリカで働くためには、EADの申請と取得という煩雑な手続きが必要でした。待機期間も長く、場合によっては数ヶ月かかることも。この変更により、配偶者はビザステータスだけで就労が可能となり、キャリアの中断を最小限に抑え、アメリカでの生活をより充実させることができるようになりました。

一見、夢のような制度変更ですが、実際にスムーズに就労できているのでしょうか？実情はもう少し複雑です。EAD不要になったとはいえ、就労開始前にソーシャル・セキュリティー・ナンバー（SSN）の取得が必要となります。SSNの取得には、I-94（出入国記録）やパスポート、ビザなどの必要書類を揃えて社会保障局に申請する必要があります。そして、このSSNの取得にも時間がかかる場合があり、即座に就労開始とはいかないケースも少なくありません。

さらに、企業側もこの新しい制度への理解が進んでいない場合があります。EADが不要になったとはいえ、依然としてビザステータスやSSNの確認が必要となるため、採用手続きに戸惑う企業もあるようです。人事担当者が制度に不慣れな場合、説明に時間を要したり、最悪の場合、採用を見送られる可能性もゼロではありません。

では、スムーズに就労するためにはどうすれば良いのでしょうか？

まず、渡米前にしっかりと情報収集を行い、必要書類を準備しておくことが重要です。SSNの申請方法や必要書類、そして就労開始までの大まかな流れを把握しておくことで、現地での手続きをスムーズに進めることができます。

次に、配偶者のビザの種類（L-2またはE-1/E-2の配偶者ビザ）を明確に伝えることが大切です。「EAD不要で就労可能」という点を強調し、必要に応じて関連する公式文書や情報源を示すことで、企業側の理解を促進することができます。

また、就職活動の際には、日系企業だけでなく、多国籍企業やアメリカ企業も視野に入れることをお勧めします。これらの企業は、多様な国籍の従業員を雇用することに慣れているため、ビザに関する理解も比較的高い傾向にあります。

さらに、LinkedInなどのオンラインプラットフォームを活用し、自身のスキルや経験をアピールすることも有効です。積極的にネットワーキングを行い、企業関係者と直接コンタクトを取ることで、就労機会を広げることができます。

最後に、アメリカでの生活や就労に関する情報を提供する団体やコミュニティに積極的に参加することも有益です。経験者からアドバイスをもらったり、情報交換をすることで、不安を解消し、スムーズな就労につなげることができます。

2022年の制度変更は、アメリカ駐在員の配偶者にとって大きな前進です。しかし、制度の周知徹底にはまだ時間がかかることが予想されます。事前の準備と積極的な情報収集、そして粘り強い就職活動によって、アメリカでのキャリアを築くチャンスを最大限に活かしましょう。