就労ビザの確認義務はあるの？

就労ビザの確認義務、意外と知らない落とし穴

外国人労働者の雇用が増加する中、企業にとって「就労ビザの確認」は避けて通れない重要な手続きです。しかし、その重要性を認識していない、あるいは具体的な手続きがよく分からないという事業主も少なくありません。今回は、就労ビザの確認義務について、その重要性と具体的な内容、そして怠った場合のリスクについて詳しく解説します。

まず大前提として、事業主は外国人労働者（特別永住者、外交・公用ビザを除く）を雇用する際、必ずその在留資格と在留期間を確認する義務があります。これは労働施策総合推進法に基づくもので、正社員だけでなく、パート、アルバイト、契約社員など雇用形態に関わらず、すべての外国人労働者に適用されます。また、雇用開始時だけでなく、更新時や離職時にも確認と届け出が必要です。

具体的には、パスポートや在留カードを提示してもらい、氏名、国籍、在留資格、在留期間、在留カードの番号などを確認し、コピーを保管します。特に在留資格は、就労可能な活動内容が細かく定められています。例えば、「技術・人文知識・国際業務」ビザを持つ外国人に単純労働をさせることは違法となります。在留期間についても、期限が切れた外国人を雇用し続けることはできません。

なぜこのような確認義務が課せられているのでしょうか？それは、不法就労を防止し、適正な労働環境を確保するためです。不法就労は、労働者の搾取や賃金未払いなどの問題を引き起こすだけでなく、社会全体の治安や秩序を脅かす可能性もあります。また、事業主にとっても、不法就労者を雇用した場合、罰則の対象となり、企業イメージの低下やビジネスへの悪影響につながるリスクがあります。

確認義務を怠った場合、事業主には3年以下の懲役または300万円以下の罰金、あるいはその両方が科せられる可能性があります。さらに、不法就労を助長したとして、入国管理局から厳しい処分を受けることもあります。また、外国人労働者自身も、不法就労が発覚した場合、強制退去となる可能性があります。

確認手続きは一見煩雑に思えるかもしれませんが、実はそれほど難しいものではありません。ハローワークに備え付けの書類や、厚生労働省のウェブサイトなどを参考にすれば、スムーズに進めることができます。また、行政書士や社会保険労務士などの専門家に相談することも可能です。

近年、外国人労働者の受け入れはますます増加しており、多様な人材を活用することは企業の成長にとって不可欠です。しかし、同時に法令遵守も重要です。就労ビザの確認義務をしっかりと理解し、適切な手続きを行うことで、外国人労働者と共存共栄できる社会を実現していくことが大切です。

最後に、確認義務は単なる手続きではなく、外国人労働者の人権を守り、公正な労働環境を整備するための重要な取り組みです。事業主は、その責任を自覚し、積極的に取り組む必要があります。