行政書士がしてはいけないことは何ですか?

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行政書士は代理人として調停の立会い、訴訟の提起、裁判書類の作成を行うことができません。また、自身の名前を出さずに裁判書類を作成することも禁止されています。

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行政書士が「絶対に」してはいけないこと:グレーゾーンとの境界線

行政書士は、市民と行政機関との橋渡し役として、書類作成や手続き代行を行う専門家です。しかし、その業務範囲は法律で明確に定められており、一線を越えてしまうと法律違反となる可能性があります。この記事では、行政書士が「絶対に」してはいけないことを、より具体的に、そして掘り下げて解説します。

1. 紛争性のある案件への介入:弁護士法違反の危険性

冒頭で述べられている通り、行政書士は調停の立会い、訴訟の提起、裁判書類の作成を代理人として行うことはできません。これは弁護士法に抵触する可能性が高いためです。

具体的には、以下のような行為が該当します。

  • 相手方との交渉: 依頼者の代わりに相手方と直接交渉し、権利や義務を主張することは弁護士の独占業務です。
  • 訴訟戦略の立案: 訴訟における勝算の見込み、証拠の収集方法、主張の組み立てなどをアドバイスすることも、弁護士の専門領域とみなされます。
  • 示談交渉の代行: 示談の条件交渉を代理で行うことも、紛争解決を目的とする行為であり、弁護士法違反となる可能性があります。

しかし、ここで注意すべきは、行政書士は「事実証明に関する書類」を作成することができるという点です。例えば、離婚協議書や遺産分割協議書の作成は行政書士の業務範囲に含まれます。ただし、これはあくまで当事者間の合意形成をサポートするものであり、紛争が既に発生している、または発生する可能性が高い状況下での積極的な介入は避けるべきです。

2. 名義貸し・偽名使用:資格の信頼を損なう行為

行政書士が自身の名前を出さずに裁判書類を作成することは、行政書士法で禁止されています。これは、責任の所在を明確にし、不正行為を防ぐための重要な規定です。

さらに、名義貸しは、行政書士資格の信頼を著しく損なう行為であり、厳しく禁じられています。行政書士資格は、個人の知識、能力、倫理観に基づいて与えられるものであり、他人に貸与することは、その信頼を裏切る行為と言えます。

3. 過大な広告・虚偽の説明:消費者保護の観点から

行政書士は、その業務内容について広告を行うことができますが、その内容は真実でなければなりません。誇大広告や虚偽の説明は、消費者を誤解させ、不利益を与える可能性があり、消費者保護の観点からも許されません。

例えば、以下のような広告は問題となる可能性があります。

  • 「絶対に許可が取れます!」: 許可取得を保証するような表現は、実際にはあり得ないため、誇大広告とみなされます。
  • 実績を偽る: 実際には経験のない分野で多くの実績があるかのように装うことは、虚偽の説明にあたります。
  • 他の専門家の業務範囲を侵害する: 弁護士や税理士など、他の専門家の業務範囲を侵害するような広告は、違法行為を誘発する可能性があります。

4. 守秘義務違反:情報漏洩は致命的なダメージ

行政書士は、業務を通じて知り得た秘密を守る義務があります。これは、依頼者との信頼関係を維持し、プライバシーを保護するために非常に重要な義務です。情報漏洩は、依頼者に多大な損害を与えるだけでなく、行政書士自身の信用を失墜させる行為となります。

5. 法令違反の助長:違法行為への関与は厳禁

当然のことながら、行政書士は、法令違反を助長するような行為は絶対にしてはいけません。これは、行政書士が法の遵守を促進する役割を担っていることからも明らかです。

例えば、以下のような行為は絶対に避けるべきです。

  • 脱税を助長するような書類作成: 税務申告に関する書類作成において、不正な手段を用いて税金を減らす行為を助長することは許されません。
  • 違法な営業許可申請のサポート: 法令で定められた要件を満たしていないにもかかわらず、営業許可を取得できるよう、不正な手段を用いることは禁じられています。

まとめ:プロフェッショナルとしての自覚

行政書士は、高度な専門知識と倫理観が求められる職業です。常に法令を遵守し、依頼者の利益を最大限に考慮しながら、適切な業務を行うことが重要です。グレーゾーンに踏み込むことなく、プロフェッショナルとしての自覚を持ち、誠実な業務を遂行することで、社会に貢献していくことが求められます。