来客が座る席は上座ですか?

4 ビュー

部屋の中で最も快適で落ち着ける場所が上座です。反対に、出入り口に近く落ち着かない場所が下座となります。お客様には上座をおすすめするのが礼儀ですが、複数人いらっしゃる場合は、立場が上の方や年長者から順に上座へご案内しましょう。

コメント 0 好き

来客時の席次:上座は本当に「上」なのか? もてなしの心を形にする席順の考え方

「お客様には上座へ」というのは、日本のビジネスマナーや冠婚葬祭でよく耳にする言葉です。しかし、上座とは具体的にどこを指し、なぜお客様に勧めるのが礼儀なのでしょうか? インターネット上には様々な情報があふれていますが、今回は単なる席の場所だけでなく、その背景にある「もてなしの心」に焦点を当てて、来客時の席次について深く掘り下げてみたいと思います。

一般的に、上座は部屋の中で最も落ち着いて過ごせる場所、つまり奥まった場所や見晴らしの良い場所とされています。下座は出入り口に近く、人の出入りが多く落ち着かない場所と認識されています。これは、お客様を「危険から守る」という考え方が根底にあるためです。かつての時代、出入り口は敵が侵入してくる可能性のある場所でした。そのため、主人側が下座に座り、お客様を安全な上座へ案内することで、守る姿勢を示す意味合いがありました。

しかし、現代においては、必ずしも「危険」から守る必要はありません。むしろ、快適に過ごしていただくための配慮が重要になります。例えば、景色の良い窓際の席や、空調の当たりにくい席、長時間座っていても疲れにくいソファなどが、上座として適切かもしれません。

重要なのは、画一的な「上座」「下座」の考え方に固執するのではなく、状況に応じて臨機応変に対応することです。

  • 複数のお客様の場合: 立場や年齢などを考慮し、序列をつける必要があります。一般的には、立場が上の方や年長者から順に上座へ案内するのが適切です。
  • 個室ではない場合: 周囲の状況(騒音、人の流れなど)を考慮し、できる限り落ち着ける場所を選びましょう。
  • 相手の好み: 事前に相手の好みを把握していれば、それを考慮することも大切です。例えば、景色よりも静かな場所を好む方もいます。

さらに、上座に座っていただくことだけがもてなしではありません。飲み物をこまめに注いだり、会話を円滑に進めたり、さりげなく気遣う姿勢も重要です。上座はあくまで「もてなしの形」の一つであり、本当に大切なのは相手を思いやる心です。

来客時に上座を意識することは、相手を尊重し、快適に過ごしていただくための大切なマナーです。しかし、形式にとらわれすぎず、相手の立場や状況、好みを考慮し、臨機応変に対応することで、より心のこもったおもてなしができるはずです。上座という「場所」だけでなく、そこにある「もてなしの心」を大切にすることで、より良い人間関係を築き、信頼関係を深めることができるでしょう。