福岡ではさつま揚げを何と呼びますか？

福岡で「てんぷら」と呼ばれる、あの美味しい揚げ物

「さつま揚げ」という名前を聞いて、何を思い浮かべるでしょうか？ ふっくらとした魚のすり身を揚げた、あの香ばしいおかずを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、九州地方、特に福岡県では、この「さつま揚げ」はちょっと違う名前で親しまれているのです。

福岡で「さつま揚げ」を注文しても、首を傾げられてしまうかもしれません。なぜなら、福岡では「さつま揚げ」のことを、なんと「てんぷら」と呼ぶからです。

「てんぷら」といえば、エビや野菜を薄い衣で揚げた料理を想像するのが一般的ですが、福岡では違うのです。福岡の人にとって「てんぷら」は、日常的に食卓に並ぶ、あの魚のすり身揚げを指します。

この呼び方の違いには、歴史的な背景が影響していると考えられています。一説には、江戸時代に薩摩藩（現在の鹿児島県）から伝わった揚げ物が、福岡で独自に発展し、その過程で「てんぷら」という名前が定着したと言われています。

福岡のスーパーや鮮魚店に行くと、様々な種類の「てんぷら」が並んでいます。プレーンなものから、ごぼうや人参などの野菜が入ったもの、イカやタコなどの海鮮が入ったものまで、バリエーション豊かです。それぞれのお店が独自の製法で作り上げており、食べ比べをするのも楽しいでしょう。

福岡の「てんぷら」は、そのまま食べるのはもちろん、煮物に入れたり、うどんや蕎麦の具材にしたりと、様々な料理に活用されます。お弁当のおかずとしても定番で、福岡の人々の食生活に深く根付いています。

福岡を訪れた際には、ぜひ地元の「てんぷら」を味わってみてください。一見すると普通の「さつま揚げ」ですが、その味は格別です。そして、「これは『てんぷら』なんです」と教えてくれる地元の人との会話も、旅の素敵な思い出となるでしょう。

福岡で「てんぷら」と呼ばれる、あの美味しい揚げ物。それは、単なる呼び方の違いではなく、福岡の食文化を象徴する、大切な一部なのです。