人の体温が42度を超えると死ぬのはなぜ？

体温が42度を超えると死亡する理由

人間の正常体温は一般的に36.5～37.5℃の範囲です。この最適範囲を超えると、重篤な健康上の影響が生じます。特に、体温が42℃を超えると、生命を脅かす事態となります。

タンパク質変性：

42℃を超える高温では、タンパク質の構造が不可逆的に変化し、タンパク質変性が起こります。タンパク質は細胞の構造と機能に不可欠な要素ですが、変性するとその機能が低下したり、完全に失われます。

酵素の不全：

タンパク質変性は酵素にも影響を与えます。酵素は体の化学反応を促進するタンパク質であり、体温が上昇するとその機能が低下します。酵素が不全になると、重要な生化学反応が阻害され、細胞がエネルギーを生成したり、老廃物を除去したりすることができなくなります。

細胞膜の破壊：

細胞膜は細胞を保護し、外と内の環境を区別します。高温では、細胞膜の脂質二重層が不安定になり、破壊されます。これにより、細胞内容は外に漏出し、細胞は機能不全に陥ります。

臓器不全：

細胞機能の崩壊は、臓器不全につながります。例えば、脳が損傷すると意識を失ったり、けいれんを起こしたりします。心臓が損傷すると、ポンプ機能が低下し、血流が途絶えます。肺が損傷すると、呼吸ができなくなります。

死亡：

これらすべての影響により、体温が42℃を超えると、細胞が回復不能な損傷を受け、臓器不全が起こり、最終的には死亡に至ります。治療が遅れると、臓器不全が不可逆的になり、救命が困難になります。

したがって、体温が42℃を超えると、細胞機能の崩壊、臓器不全、そして最終的には死亡につながるため、極めて危険な状態となります。