赤ちゃんを激しく揺さぶるとどうなる？

赤ちゃんを激しく揺さぶるとどうなる？ 揺さぶられっ子症候群の恐ろしさ

小さな赤ちゃんを抱っこしていると、ついあやしたり、泣き止ませようと揺らしてしまうことがあるかもしれません。しかし、その揺さぶり方が激しいと、取り返しのつかない悲劇につながる可能性があります。それは「揺さぶられっ子症候群（SBS：Shaken Baby Syndrome）」と呼ばれる深刻な虐待の一種です。

赤ちゃん、特に生後6ヶ月未満の乳児は、首の筋肉が未発達で頭部を支える力が弱いため、激しい揺さぶりによって脳が頭蓋骨の内側で激しく揺さぶられます。これは豆腐が入った容器を激しく振るようなもので、豆腐が容器にぶつかって崩れるように、赤ちゃんの柔らかな脳は頭蓋骨に繰り返し衝突し、損傷を受けます。

この損傷は、出血、脳浮腫、神経の断裂などを引き起こし、深刻な後遺症を残す可能性があります。具体的には、以下のような症状が現れることがあります。

• 神経学的症状: 痙攣、意識障害、呼吸困難、麻痺、視力障害、聴覚障害、発達遅延など。
• 身体的症状: 頭囲の拡大、嘔吐、食欲不振、元気がない、顔色が悪いなど。

これらの症状はすぐに現れることもあれば、数日後に現れることもあります。また、一見軽微な揺さぶりでも、後々深刻な影響が出る可能性があるため、注意が必要です。SBSによる後遺症は生涯にわたる場合もあり、知的障害、学習障害、行動障害、てんかん、視覚障害、聴覚障害などを抱えて生きていくことになります。最悪の場合、死に至ることもあります。

SBSは虐待であり、決して許される行為ではありません。しかし、加害者は必ずしも虐待を意図しているとは限りません。泣き止まない赤ちゃんにイライラし、つい強く揺さぶってしまうケースも少なくありません。特に、初めての子育てで睡眠不足やストレスを抱えている親などは、知らず知らずのうちに危険な行為をしてしまうリスクが高まります。

大切な赤ちゃんを守るためには、SBSの危険性について正しく理解し、以下のような点に注意することが重要です。

• 赤ちゃんを強く揺さぶらない: 泣き止まなくても、決して激しく揺すってはいけません。優しく抱っこしたり、歌を歌ったり、周りの環境を変えたりするなど、他の方法で落ち着かせましょう。
• ストレスを溜め込まない: 育児のストレスは誰にでもあります。一人で抱え込まず、パートナーや家族、友人、地域の相談窓口などに相談し、サポートを受けましょう。
• 周囲の人が注意する: 周囲の人が赤ちゃんを激しく揺さぶっているのを見かけたら、すぐに注意し、SBSの危険性を伝えましょう。

赤ちゃんの泣き声は、親にとって大きなストレスになることがあります。しかし、その泣き声は赤ちゃんからのSOSであり、コミュニケーションの手段です。赤ちゃんの気持ちに寄り添い、優しく対応することで、信頼関係を築き、健やかな成長をサポートすることができます。SBSの悲劇を防ぐためにも、一人ひとりが意識を高め、赤ちゃんにとって安全な環境を作り出すことが大切です。もし、赤ちゃんに異変を感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。早期発見・早期治療が、後遺症を最小限に抑える鍵となります。