自損事故を起こしたら警察に通報する義務はある？

自損事故でも警察に通報は必須？意外と知らない法律と現実

誰もが避けたい交通事故。特に、自分一人だけの責任で起こしてしまった自損事故は、精神的なショックも大きく、どう対応すれば良いのか分からなくなるケースも多いでしょう。 「自分だけで済んだから大丈夫だろう」と安易に考えてしまいがちですが、実は自損事故であっても警察への通報は義務付けられている場合があり、放置することは法律違反となることをご存知でしょうか？

本稿では、自損事故発生時の警察への通報義務について、詳細に解説していきます。単独事故の場合、人身事故や物損事故の程度に関わらず、いつ、どのように警察に通報すべきなのか、そして通報しなかった場合の法的リスクについて、分かりやすく説明します。

まず結論から言うと、自損事故であっても、状況によっては警察への通報が義務付けられています。道路交通法第70条第1項には、「運転者が交通事故（車両等が故障したものを含む）を起こしたときは、直ちに警察に届け出なければならない」と明記されています。 ここで重要なのは「交通事故」の定義です。単なる故障とは異なり、交通事故とは、車両の運転によって発生した人身事故や物損事故を指します。しかし、「自損事故」であっても、車両の損傷が著しい場合、あるいは事故の原因究明に必要となる状況証拠の確保の観点から、警察への通報が強く推奨されます。

例えば、高速道路での単独事故でガードレールに衝突し、車両に著しい損傷があった場合、警察に通報しないことで事故原因の究明が困難になる可能性があります。また、事故直後の状況証拠（例えば、タイヤの痕跡や破損状況など）が、のちの責任追及や保険請求に大きく影響します。警察官による現場検証を通して、これらの証拠が適切に記録されることが重要です。

さらに、事故を起こした際に、一時的に意識を失ったり、身体の異常を感じた場合、たとえ軽微な症状であっても、警察への通報は必須です。後遺症の可能性も考慮し、医師の診察を受け、その診断書を警察に提出する必要があります。これは、後々責任問題が発生した場合に備えて、自身の状態を客観的に証明するためにも不可欠です。

警察への通報を怠ると、道路交通法違反として罰則が科せられる可能性があります。具体的には、罰金刑が科せられる可能性があります。また、保険金の請求にも影響を与える可能性があります。保険会社によっては、事故発生時の状況によっては、警察への通報を義務付けており、通報しなかった場合、保険金の支払いを拒否されるケースもあるのです。

自損事故は、一見自分だけの問題のように思えるかもしれませんが、実は法律上の問題や、保険に関する問題、さらには後日の責任追及といった、多くのリスクを孕んでいます。そのため、どんなに軽微な自損事故であっても、まずは落ち着いて、警察への通報を検討し、事故証明書を取得することが重要です。 安全な運転を心がけることはもちろん、万が一事故を起こしてしまった際の適切な対応を知ることで、自分自身と周囲の安全を守ることができます。

最後に、事故発生時はパニックになりがちですが、落ち着いて、以下の点を意識しましょう。

1. 自分の安全を確保する: まず、二次災害を防ぐため、安全な場所に車両を移動させ、周囲の状況を確認しましょう。
2. 警察に通報する: 110番に電話し、事故状況を正確に説明しましょう。
3. 事故現場の状況を記録する: 可能であれば、写真や動画で記録を残しましょう。
4. 目撃者を探しましょう: もし目撃者がいれば、連絡先を交換しましょう。
5. 保険会社に連絡する: 事故状況を保険会社に報告しましょう。

自損事故は決して軽視できるものではありません。適切な対応を心がけ、安全な運転を心がけましょう。