追い越しで事故を起こしたら過失割合はどうなる?

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追い越し中の事故は、追い越し側が過失割合を大きく負うのが一般的です。特に、追い越し禁止場所で事故を起こした場合、追い越し行為自体が道路交通法違反となるため、過失割合はほぼ100%、あるいは90%と判断されるケースが多いです。 状況によっては、対向車側の過失も認められる場合もありますが、基本的には追い越し側の責任が問われます。

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追い越し中の事故で過失割合がどのように決定されるのかは、状況によって大きく異なります。一概に「追い越し側が悪い」とは言えず、事故の状況、道路状況、各車両の速度や挙動など、多角的な視点からの精査が必要となります。上記のように追い越し禁止場所での事故は追い越し側の大過失となるケースが多いですが、それ以外の状況についても、詳細に見ていきましょう。

まず、最も重要なのは「安全確認」が適切に行われたか否かです。追い越しを行う際には、後続車、対向車、そして追い越し対象車両の挙動を十分に確認し、安全に追い越しを完了できる見込みがある場合にのみ実行すべきです。この安全確認が不十分だった場合、過失割合は高くなります。具体的には、以下の点を検討します。

  • 視界の確保: 死角となる場所がないか、十分な距離を置いて安全を確認できたか。
  • 速度の調整: 追い越しに必要な速度と、安全に車線変更できる速度を適切に判断し、調整できたか。急加速や急減速は危険行為です。
  • 対向車の状況: 対向車線の交通量、速度、距離を正確に把握し、追い越しが可能な余裕があるか判断できたか。
  • 追い越し対象車両の挙動: 追い越し対象車両が速度を落としたり、車線変更する兆候がないかを確認したか。
  • 後続車の状況: 後続車の速度や距離を確認し、追い越しによって後続車に危険が及ばないかを確認したか。

次に、事故の種類によっても過失割合は大きく変動します。例えば、

  • 正面衝突: 追い越し中の車両が対向車線にはみ出して正面衝突した場合、追い越し側の過失は非常に高くなります。対向車に何らかの過失がある場合でも、追い越し側の過失が70~90%となるケースが一般的です。ただし、対向車がセンターラインを跨いで侵入してきたなど、明らかに対向車側に重大な過失がある場合は、過失割合が逆転することも考えられます。
  • 側面衝突: 追い越し中の車両が、追い越し対象車両や隣接車線にいる車両と接触した場合、やはり追い越し側に大きな過失が問われます。しかし、追い越し対象車両が急ブレーキをかけたり、車線変更したことが原因で事故に至った場合は、過失割合は減少する可能性があります。
  • 追突事故: 追い越し後に車線を戻す際に、後続車に追突した場合、追い越し側が過失割合の大部分を負うことになるでしょう。安全に車線変更できるスペースを確保せずに車線変更を行ったと判断された場合、過失割合は非常に高くなります。

さらに、道路状況も考慮されます。例えば、視界不良な場所、カーブ、坂道などでは、より慎重な追い越しが必要であり、安全確認が不十分だった場合、過失割合が高くなる傾向があります。また、天候状況も重要です。雨や雪などの悪天候下では、通常時よりも慎重な運転が求められ、安全確認の不足はより重大な過失とみなされるでしょう。

最後に、証拠の有無も重要な要素です。ドライブレコーダーの映像や目撃者の証言など、事故状況を客観的に証明できる証拠があれば、過失割合の判断に大きく影響します。

結論として、追い越し中の事故における過失割合は、単純に「追い越し側が悪い」とは言い切れません。上記の要素を総合的に判断し、個々の事故状況を詳細に分析することで、公正な過失割合が決定されます。そのため、事故を起こした際には、落ち着いて状況を把握し、警察への通報と、証拠の確保に努めることが重要です。専門家の意見を仰ぐことも有効な手段です。