フォンニャケバンの要所 天国の洞窟
2003年にユネスコ世界遺産の基準を満たし、2015年の拡張に伴い正式に登録されたフォンニャ=ケバン国立公園。8万6千ヘクタールという広大な敷地面積に大小300以上の洞窟が存在し、現在もそのほとんどが未解明。現在解明しているフォンニャ洞窟は全長7.7キロに及びます。
一方、ここで紹介する「天国の洞窟」は、世界遺産に登録されている洞窟ではありません。ただ、フォンニャケバンを観光するほとんどの日本人旅行者が探索する洞窟の1つとなります。現在フォンニャケバン観光で一般人が足を踏み入れることができる洞窟は数か所にとどまっていて、フォンニャ洞窟と天国の洞窟はその貴重な1つとなります。
フエ及びダナンからフォンニャケバンへ。途中ドンホイの町に一泊すると、同町から天国の洞窟までは車で1時間足らずで行くことができます。ツアーではフォンニャ洞窟と天国の洞窟の2か所を巡る旅程が一般的。最初に天国の洞窟、その後フォンニャ洞窟へ行くこととなります。
天国の洞窟は国立公園から車で30分ほど走り、傾斜の急な坂道を歩いた山中に入り口があります。道中及び洞窟内部の一部は滑りやすいところがあるため、スニーカーで行くのがおすすめです。またツアーの場合は他の参加者と足並みを合わせなければなりませんので、できる限り歩きやすい格好で臨むのがいいでしょう。
山中の入り口から洞窟に入ると、再び急な階段が出現し、そこを降りていく構造となっています。階段の手すり傍はすでに洞窟の石灰岩が表れ、手で触れることもできます。フォンニャケバンは全体がカルスト地形で、長い歳月をかけてこのような大空洞を形成しました。その年月はなんと2億年以上。恐竜時代より前なのだから驚きですね。
天国の洞窟の長さはおよそ31km。日本で最も長い洞窟は岩手県の安家洞の23kmなので、それよりも大分長い洞窟となります。これは世界最長クラスとなります。美しくも圧倒的な規模を誇る鍾乳石はライトアップされて幻想的。地上世界から隔離されたような不思議な空間が広がっています。
洞窟内部は大部分は舗装された道を歩いて行きますが、途中で石灰の道が開けていて、自由に探索することができます。地面はところどころ地下水で濡れて滑りやすくなっているほか、足元が暗いのでご注意ください。また、鍾乳石は何千年、何万年の年月を経て形成されたものとなるので、触れないようにしてください。写真撮影は自由です。
天国の洞窟傍には御覧のような休憩場所がありますので、小休止をすることもできます。フォンニャケバンには他にも「仙人の洞窟」がフォンニャ洞窟近くにありますが、ツアーで天国の洞窟と併せて3つ行くのは珍しいので、基本は天国の洞窟とフォンニャ洞窟と考えていいでしょう。「ダナンから6時間、往復12時間かけて来た甲斐があった」と旅行者は口をそろえて言います。是非、太古の時代に作られた大洞窟をその目で確かめてみてください。