「伺わせて頂きます」は正しい敬語ですか?

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「伺わせていただきます」は、謙譲語(伺う)と謙譲の補助動詞(〜させていただく)が重なった二重敬語にあたり、過剰な敬語表現です。正しくは「伺います」を使用しましょう。特にメールなど、書面でのやり取りにおいては、適切な敬語表現を心がけることが重要です。

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「伺わせていただきます」は正しい敬語ですか?この疑問は、ビジネスシーンやフォーマルな場面で日本語を使用する際に、多くの人が抱く悩みの種です。結論から言うと、厳密には正しくありません。二重敬語にあたるため、過剰な敬意を表し、かえって失礼に聞こえる可能性があるからです。しかし、単に「間違い」と断じるだけでは不十分です。この表現の背景や、より適切な表現を選択する上で考慮すべき点を深く掘り下げてみましょう。

「伺わせていただきます」は、謙譲語である「伺う」と、謙譲の補助動詞「~させていただく」を組み合わせた表現です。「伺う」は相手への配慮を表す謙譲語で、自分の行為をへりくだって表現する際に用います。例えば、「お伺いします(伺います)」は「お邪魔します」「訪問します」といった意味合いで使われます。一方「~させていただく」も謙譲の補助動詞で、自分の行為を相手に許可を得て行うことを示します。つまり、「伺わせていただきます」は「相手にご許可を得て、控えめに伺います」という意味合いになります。

問題は、この二つの謙譲表現が重なっている点です。相手への配慮は十分に伝わりますが、その配慮が過剰になり、自然でスムーズなコミュニケーションを阻害する可能性があります。相手は過剰な敬意に気疲れしたり、不自然さを感じたりするかもしれません。特に、目上の方や初めて会う方など、距離が近いとは言えない相手に対しては、二重敬語の使用は避けるべきです。

では、どのように表現すれば良いのでしょうか?最も適切な表現は、シンプルに「伺います」です。この言葉だけで、相手への十分な敬意と、自分の行為をへりくだって表現する謙虚さが伝わるからです。「伺います」は、ビジネスシーンでも広く使われており、誤解を招く心配も少ないでしょう。

さらに状況によっては、「お伺いいたします」「お伺いさせていただきます」も適切な表現となり得ます。「お伺いいたします」は丁寧な表現で、比較的フォーマルな場面に適しています。「お伺いさせていただきます」は「~させていただきます」を使うことで、より相手に配慮した表現となりますが、これも二重敬語に近いため、使用には注意が必要です。状況に応じて使い分けることが重要です。

「伺わせていただきます」を使う状況として考えられるのは、非常にフォーマルな場面、例えば、重要な会議や式典への参加、あるいは非常に重要な人物への訪問など、特別な配慮が必要な場合のみでしょう。しかし、そのような場合であっても、文脈によってはより自然で適切な表現が存在する可能性があります。

結論として、「伺わせていただきます」は避けるべき表現です。ビジネスシーンやフォーマルな場面では、「伺います」を基本とし、状況に応じて「お伺いいたします」や「お伺いさせていただきます」を使い分けることで、より自然で失礼のないコミュニケーションを実現できます。過剰な敬語は、かえって相手に不快感を与える可能性があることを常に意識し、適切な言葉遣いを心がけましょう。 言葉選び一つで、ビジネスにおける信頼関係は大きく左右されるのです。