備品を紛失したら減給されますか?

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就業規則によっては、備品を紛失した場合、弁償ではなく減給となるケースがあります。ただし、減給額は月給総額の10分の1を超えてはならず、大幅な減給は違法となります。例えば、月給30万円の場合、減給額は3万円以下となります。

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備品紛失で減給?その違法性を見抜く!

会社で仕事をする上で、備品を紛失してしまうことは、誰にでも起こりうる可能性のある出来事です。うっかりミスでペンをなくしたり、高価な測定器を不注意で破損させてしまったり…そんな時、「減給」という言葉が頭をよぎる人もいるのではないでしょうか。しかし、備品を紛失したからといって、安易に減給処分を下すのは違法となる可能性があります。

減給が認められる条件とは?

法律(労働基準法)では、会社が労働者に対して減給という形で制裁を科すことができる場合を厳しく制限しています。減給が認められるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 就業規則に減給に関する明確な規定があること: 減給という制裁を科すためには、就業規則にその根拠となる規定が明確に記載されている必要があります。「備品を紛失した場合、減給することがある」といった曖昧な表現ではなく、どのような場合に、どれくらいの減給となるのかが具体的に定められていなければなりません。

  2. 減給額が法律で定められた範囲内であること: 労働基準法第91条では、減給の制裁額について、「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の十分の一を超えてはならない」と定められています。つまり、1回のミスに対する減給額は、平均賃金の半分以下、そして、1ヶ月の給与からの減給総額は、給与の10分の1以下でなければなりません。

  3. 備品紛失の原因が労働者の故意または重大な過失によるものであること: 単なるうっかりミスや、通常業務に伴う損耗による紛失であれば、減給の対象とはなりません。減給が認められるのは、労働者が意図的に備品を紛失させた場合や、極めて重大な過失によって紛失させた場合に限られます。例えば、飲酒運転をして備品である社用車を破損させた場合などが該当します。

  4. 減給処分が社会通念上相当であること: 上記の条件を満たしていたとしても、減給額が備品の価値や労働者の責任の度合いに見合わない場合、その減給処分は違法となる可能性があります。例えば、100円のペンを紛失しただけで1万円の減給処分を下すのは、社会通念上相当とは言えません。

減給処分を受けた際の対処法

もし、備品を紛失したことで減給処分を受けた場合、以下の点を確認し、必要であれば専門家(弁護士や労働基準監督署など)に相談することをおすすめします。

  • 就業規則に減給に関する規定が明確に記載されているか
  • 減給額が法律で定められた範囲内であるか
  • 備品紛失の原因は、自分の故意または重大な過失によるものか
  • 減給処分が社会通念上相当であるか

もし、減給処分が違法であると判断できる場合は、会社に対して減給処分の撤回を求めることができます。

まとめ

備品紛失による減給は、場合によっては違法となる可能性があります。まずは、就業規則をよく確認し、自分の状況が減給の条件に当てはまるのかどうかを冷静に判断することが重要です。もし、疑問や不安がある場合は、専門家に相談することで、不当な扱いから身を守ることができます。 泣き寝入りせず、正しい知識を持って、自分の権利を守りましょう。